イベントの最後にCEOのEric Schmidt氏が登場した。冒頭の「なぜ今Chrome OSなのか?」だが、かつてChrome OSのようなコンセプトが上手くいかなかった理由について同氏は「複雑さやコストなどコンピューティングが抱える問題を正しく見抜いていたものの、絵に描いた餅でしかなかった」と指摘した。ユビキタスを実現するような高速で安定した無線ネットワークはなく、当時のWebテクノロジではパソコンユーザーが満足できるようなWebアプリは不可能。まだ、その時ではなかったのだ。
2003年にAjaxが脚光を浴び、LAMP(Linux、Apache、MySQL、PHP/Perl/Python)の台頭を経て、いまHTML5によってWebアプリとデスクトップアプリの差が急速に縮まっている。またスマートフォンやタブレットなど、一昔前のパソコン並みの性能を備えたモバイルネット端末の登場も、クラウドコンピューティングの追い風になっている。
Chrome OSは「クラウドコンピューティングのメリットを利用するための代わりにとどまらない」とSchmidt氏。クラウドがコンピューティングの未来であると考えている人たちに、それを形にするためのすべてを与える。既存のデスクトップOSとはまったく異なるものであり、クラウドの可能性が認められるならば、Chrome OSは第3のデスクトップOSとしてWindowsとMacの間に割り込むと語った。