連載【FileMaker Go 超活用!】
第1回 iPhone/iPadでFileMakerデータベースを活用
第2回 FileMaker Goに最適化したレイアウトの作成
第2回 FileMaker Goで利用するスクリプト
本連載では3回にわたり、iPhone/iPadでFileMakerデータベースを活用するアプリ「FileMaker Go」の概要と、FileMaker Goに特化したインタフェースの作成、プログラミングについて紹介していきます。まずはその第1回目ということで、FileMaker Goの概要についてのお話から。
FileMaker Go登場!
「FileMaker Pro」はご存じの通り、MacならびにWindowsで利用できるデータベースソフトです。データベースのビギナーからエキスパートに至まで、その技量や目的に応じて作り込むことが可能な柔軟性の高いスケーラビリティが大きな特徴となっており、多くのユーザに支持されてきましたが、iPhoneやiPadなどのモバイルデバイスが広く普及した現在、FileMakerユーザは、それらのモバイルデバイスに対応した製品を待ち望んでいました。 それに応えるべく登場したのが、iPhone用の「FileMaker Go」、iPad用の「FileMaker Go for iPad」というFileMaker Goファミリーというわけです。この連載では、この2つのアプリを総称してFileMaker Goと呼ぶことにします。
FileMaker Goとは
FileMaker Goは、FileMaker Proで作成したデータベースをiPhoneやiPad上で利用するためのアプリです。データベースを作成することはできませんが、FileMaker Server (FileMaker Pro)でホストされたデータベースに対し、3G回線やWi-Fiを利用してネットワーク経由でアクセスしたり、あるいは直接データベースファイルをインストールして利用することができます。
iOS独自のインタフェースに特化した操作環境に対応し、通常のFileMaker Proで利用する場合と同様、レコードの表示や編集、検索、ソート、レイアウト切り替えなどの基本操作から、タブコントロール、クイック検索、Webビューア、外部SQLデータソースの利用、ポータル、スクリプトの実行なども可能です。
基本的には、FileMaker Pro 7以降の「.fp7」形式のファイルであれば、ほとんど変更を加えることなくFileMaker Goで利用することが可能ですが、いくつかの関数やスクリプトステップには対応していません。また、画面サイズのことを考慮した場合、iPhoneやiPadに特化/最適化してデータベースを使用するには、やはり変更を加えなければならない処理があることも事実です。これらの処理に関しては、次回以降で詳しくお話ししますのでお楽しみに。
FileMaker Goをどんな場面で活用する?
第一に、FileMaker Goを利用すれば3G回線やWi-Fi環境を利用することで、いつでもどこからでもFileMaker Proのデータベースを利用することができます。これが最大の特徴でしょう。ホストされたデータベースに対して直接参照や更新ができるため、iPhoneやiPad用に対応アプリを開発する手間をかけることなく、既存の業務システムと一体化した環境を簡単に手早く手に入れることができるというわけです。
従来であれば、基幹業務のデータベースシステムに対してiPhoneやiPadからアクセスするためのアプリを用意するとなれば、制作期間や費用もそれなりに必要でした。それを考えれば、計り知れないメリットがあると言えるでしょう。
第二に、iPhoneやiPadには支出管理やメモ帳などのアプリケーションが多数リリースされていますが、必ずしも自分にとって使い勝手のよいものだとはかぎりません。そんなとき、FileMaker Proを利用しない手はありません。データ管理こそFileMaker Proが本領を発揮するところ。FileMaker Proでそれらのテンプレートを作成し、FileMaker Goにインストールして利用すれば、たちまちiPhone/iPad専用の支出管理アプリケーションの完成です。
そして、使いやすいテンプレートができたなら、(App Storeで販売することはできないものの)自社あるいはダウンロードサイトを利用して販売することも可能です。つまり、FileMaker ProとFileMaker Goの組み合わせが、iOS用アプリケーションの開発ツールとなるわけです。
FileMaker Goの購入とインストール
FileMaker Goは、iTunes StoreのApp Storeからダウンロード購入します。対象となるiOSデバイスによって「FileMaker Go」(iPhone用)と「FileMaker Go for iPad」(iPad用)の2種類が用意されているので、両方のデバイスを所有しているユーザにとっては、どちらを購入すればよいか非常に迷うところだと思います。また、いずれのアプリもApp Storeの中では高額の部類に属するため、ユーザにとっては、できれば1つでiPhone/iPad両方のデバイスに対応するユニバーサルアプリとしてリリースしてほしいというのが本音ではないでしょうか。
アプリのインストールは、iOSデバイス上から購入した場合は直接インストールされますが、コンピュータにダウンロードした場合はiOSデバイスと同期などを行ってインストールします。
FileMaker Go 価格:2,300円 App Storeからダウンロードする |
FileMaker Go for iPad 価格:4,600円 App Storeからダウンロードする |
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