異なるPCへの復元を行う「Acronis Universal Restore」
通常はWindows 7を導入したホストドライブをイメージバックアップし、ハードウェア構成が異なるコンピュータへ復元しても、そのままでは動作しない。なぜなら、異なるハードウェアを動作させるためのデバイスドライバが、バックアップしたWindows 7に組み込まれていないからだ。Microsoftでは、Windowsシステムイメージの展開を行う「Microsoft System Preparation Tool」を用意しているものの、同ツールで補えるのはプラグ&プレイ対応のデバイスのみであり、HAL(Hardware Abstraction Layer)や大容量記憶装置用デバイスドライバは同一でなければならないため、異なるコンピュータへの移行時には事実上使用できない。
そこでユーザーに試して欲しいのが、Acronis Universal Restore である。前述したHALおよび大容量記憶装置のデバイスドライバを置き換えることで、ハードウェア環境に依存しないバックアップデータの作成や、ハードウェア障害が発生し、新たなコンピュータへの環境移行をスムーズに実行できるというものだ。
Acronis Universal Restoreを使用するには、Acronis True Image Home 2010 Plus Pack導入後に作成したバックアップデータと、ブータブルレスキューメディアを使用する。ただし、ノンストップバックアップで作成したバックアップデータでは、Acronis Universal Restoreを使用できないので注意して欲しい。この点だけ意識しておけば、リカバリウィザードを用いた通常の復元手順とほぼ変わらない。
ブータブルレスキューメディアからコンピュータを起動し、メイン画面の「リカバリする」にある<ディスク>をクリックしてリカバリウィザードを起動し、復元するホストドライブのイメージを選択すると、<Acronis Universal Restore の使用>という項目が現れる。同項目をチェックして先に進むと、復元ステップとして「ドライバマネージャ」が使用可能になるので、復元対象となるコンピュータで使用したいRAIDやSCSIなど、大容量記憶装置用デバイスドライバの在処を選択すればよい。
デバイスドライバを展開したフォルダがUSB-HDDやCD-ROMなどリムーバブルメディアに保存している場合は、<リムーバブルメディアからデバイスドライバを検索する>をチェックオン。ローカルディスクやネットワーク上の共有フォルダに保存してある場合は、<次の場所からデバイスドライバを検索する>をチェックオンし、<検索パスの追加>ボタンをクリック。特定のフォルダを選択するだけだ(図13~18)。
あとは通常のリカバリウィザードと同じく先に進めると、Acronis Universal Restoreの機能を用いて、先に選択したデバイスドライバや、バックアップファイル内のドライバストレージフォルダから使用可能なデバイスドライバを検出し、適切なものを復元対象となるコンピュータ(Windows 7)にインストールされる(図19~23)。
図22 これでAcronis Universal Restore機能を用いた、異なるコンピュータへの復元操作が行われる |
図23 復元操作の完了を示すメッセージが表示されたら<OK>ボタンをクリックし、「Acronis True Image Home 2010」の<×>ボタンをクリックすれば、コンピュータの再起動処理が行われる。これで復元操作は完了だ |
なお、デバイスドライバの検出や自身が組み込んだデバイスドライバの状態は「ログ」から確認可能だ。プラグ&プレイによるデバイスドライバの列挙や、Windows 7起動後の予約タスクとして登録されているのを確認できた。筆者も様々な環境で試したわけではないが、Acronis Universal Restoreは復元時に組み込むデバイスドライバをストレージ系に絞っているため、誤動作も少なく、異なるコンピュータへの復元時には大いに役立つはずだ(図24)。