安価なサーバといえば、外見も内部構造もデスクトップPCと何が違うのかよくわからないPCサーバが多い。ThinkServer TS200vも外観は一見デスクトップPCであるThinkCenterシリーズと似ている。しかしカバーを開けてみると、内部レイアウトは特徴的だ。

ケースの開閉を手回しネジで行い、ドライブ類の脱着もレバーで行うツールレス構造は他社製品と似ている。レバーなど、メンテナンスに関わるパーツは水色になっているため、作業はそれほど難しくない。

特徴的なのは、HDDの取り付け位置だ。2つのHDD用ベイは上下に分かれている。1つは光学ドライブなどを納める5インチベイからつながる位置だが、もう1つは底面に配置されているのだ。2つのHDDの間には、フロントから吸気したエアを吹き出すファンが口を開けている。このファンの開口部を背面側から見ると、吹き出し口の上部と下部をふさぐようにカバーがかぶせられており、CPUなどがある中央へ向けては約1/3程度しか吹き出していないことがわかる。この上下カバーはそれぞれ上下のHDDに向かってカーブを描いており、HDDに冷却用のエアをあてるようになっているのだ。HDD同士が隣接していないために相互の熱や振動の悪影響が出ないというだけでなく、しっかり冷却できる構造といえる。

内部構造では、HDDの取り付け位置に注目。ケーブルは短くまとめられている

前面からの吸気ファン。エアを上下に振り分け、HDDを冷却している

冷却効率を考えたという意味では、ケーブルが最短にまとめられていることもポイントだ。余分なケーブルが少ない分、エアフローが邪魔される心配が少なそうである。ただ、ケーブルを短くまとめただけでケース壁面に固定するなどの処理はされていないので、見た目はあまりよろしくない。ケーブルは短く切り詰められているわけではなく、結束バンドであちこちが束ねられている状態だから、こだわりのあるユーザーは自分で取り回しをやり直してもよいかもしれない。

実際に電源を入れて本機を起動してみても、振動や動作音はほとんど感じられなかった。特別に静かな環境ではともかく、エアコンをつけた室内で使っている分には稼働しているのかどうかもよくわからないほどだ。

この静音性に貢献しているのは、ケース底面に取り付けられたゴム足。大きめのゴム足が4隅に取り付けられており、振動を吸収してくれる。ゴムと言っても表面は平滑で、しっかりとした堅さがあるため、しばらく置きっぱなしにしたせいで床に跡がつく、というような心配はなさそうだ。

フロント下部は吸気のためのハニカムメッシュになっている

底面には大きなゴム足が4つ取り付けられており、振動を吸収する

フロントにはDVD-ROMドライブとUSB 2.0×2を配置

背面にはVGAポート、DisplayPort、シリアルポート、USB 2.0×6、LAN、オーディオ入出力を装備する