いわゆるメインストリーム機である「EP-803A」は、基本的な機能をすべて網羅しているモデルだ。購入予定者がより上位モデル・下位モデルと機能やスペックと価格を見比べて、あれでもない、これでもないといいながら、結局落ち着くモデルでもある。つまり、新機種「EP-803A」は、バランスがとれたポジションの製品であるということだ。コストパフォーマンスに優れているともいってよいだろう。
家庭での利用ということを考えると、本機のように前面給紙・前面排紙に対応しているのはメリットが大きい。前面にさえスペースを確保しておけば、印刷は可能というわけで、これだけでも設置場所で頭を悩ませる要因を減らせるだろう。しかも、二段給紙機構を採用しており、上段はL判/2L判/KGなどの用紙を、下段にはA4用紙などをセットできるようになっている。給紙容量は下段のA4で最大120枚、上段のハガキで最大20枚となっている。別々で管理できるため、普段利用するようなA4の普通紙とL判の写真光沢紙などをセットしっぱなしにできる手軽さがある。
そしてもう1つ、メンテナンス性のよさもポイントとして紹介したい。プリンタのトラブルといえば、プリントヘッドの目詰まりと紙詰まりだろう。どちらも発生する頻度が高く、処置が面倒。最悪の場合修理に出さなければならないトラブルだ。
目詰まりについては、2008年のモデルでプリントヘッドに対して目詰まり対策(自動ノズルチェック機構など)を採用していたが、2009年モデル~2010年モデルと材質を変更するなどして、あえて対策を取らなくてもよいレベルになっているという。
紙詰まりへの対処については、ローラー部の着脱が可能になったことが大きい。よく発生する紙詰まりというのは、給紙が斜めになっていたため、ローラーが正しく紙送りできず、詰まりを起こしてしまうというもので、ローラーを取り外せば詰まってしまった用紙をすぐに取り除ける。給紙/排紙には複数のローラーが関わるため、必ずしも詰まりが発生した箇所のローラーを取り外せるとは限らないが、それでも、自分でメンテナンスできるポイントが増えたというのは素直に歓迎したい。
さらに、豊富な接続手段を備えているのもポイントだ。USB、有線LAN、無線LANに加え、。iPhoneアプリ/Androidアプリからの印刷、一部デジタルカメラなどに採用されている近接無線通信技術「TransferJet」を利用しての印刷も可能。ただし、TransferJetについてはTransferJetリーダーをUSBで本機に接続して利用するということになる。現在入手可能なリーダーがソニーのTransferJetステーション「TJS-1」(14,910円)のみで、対応するデジタルカメラも少ないので、この機能を利用できるユーザーはそれほど多くないだろう。