キーノートは早いペースで進み、開始から20分程度で「今日のアントレー、iPodに移ろう」(Jobs氏)となった。
iPodのこれまでの累積販売台数は2億7500万台を超えた。iPodが成功してきた理由の1つとしてJobs氏は「高い市場シェアを獲得しても、われわれは安住することなく、ユーザーにとってよりよい製品になるように、毎年iPodの改善に挑戦し続けてきたからだ」と述べた。そして「今年は、これまでで最も大きなiPodのラインナップの変化になる」と続けた。 まずiPod shuffleは、世代が進むごとに小型化を達成してきたが、第3世代のボタンレスは使いにくいというユーザーが多かった。だがVoiceOverとプレイリスト機能は歓迎されており、そこで最新の第4世代では、第2世代のコントロールパッドと第3世代のVoiceOver/プレイリストのいいとこ取りをした。コンパクトで操作しやすく、手頃な価格というshuffleに求められる条件をすべて満たしたとアピールする。
iPod nanoは、もっとも人気があり、もっとも成功しているiPodだ。第5世代に至るまでに成熟しており、大胆な変化に挑まなければ改善は難しい。それは主力製品を失うリスクもはらむが、第6世代で新デザインにふみ切った。改善の方向は「より小さく、より使いやすく」。現行モデルから小型化するにはクリックホイールを捨てるしかない。画面だけが残された形で快適な操作を実現するために、nano向けのマルチタッチ・ユーザーインターフェイスを開発した。本体は46%小さく、42%軽量と"小型化"を達成、あとは"より使いやすく"の部分に対するユーザーの反応を待つ。
完成度の高くユーザーからの評価も高いiPod nano。それゆえに手を加えにくい |
小型化を実現するために、クリックホイールを省くところからスタート |
新iPod nanoのメイン画面(上段/ 下段左)、音楽ブラウズ画面 |
ラジオ(上段左/ 中央)、時計(上段右)、写真(下段左/ 中央) |
iPod製品シリーズの歴史の中ではiPod nanoがトップセラーだが、昨年以降に限ればiPodの人気トップは「iPod touch」だという。「携帯機能のないiPhone」と揶揄されたりもするが、契約にしばられずにiOSデバイスを使いたいという理由からtouchを選んでいるユーザーは多い。またティーンエイジャーでも買いやすいiOSデバイスになっている。そうした背景が、touchを使ったiTunes Storeからのゲームおよびエンターテインメント・タイトルのダウンロードが15億件という数字に現れている。Jobs氏によると、ポータブルゲームプレイヤーとしてtouchの売上げは、任天堂とソニーを合わせた数字を上回り、米国とグローバル規模の市場シェアでどちらも過半数を達成しているそうだ。
最新モデルは、エンターテインメント・デバイスとして一段と進化させた。RetinaディスプレイとA4チップを備え、Game Centerを利用できるiOS 4.1搭載で登場する。ユーザー待望のカメラを内蔵し、iPhone 4に続くFaceTime対応デバイスになる。