変幻自在で神出鬼没なオーロラ

オーロラ。その神秘的な天体ショーは多くの人々を魅了する。秋頃からは日本でも多くの旅行社がオーロラツアーを発売しており、その人気も非常に高いと聞く。ここでは、ノルウェーでのオーロラ鑑賞について紹介していくのだが、あれこれと説明する前にとにかくまずはオーロラの写真を見てもらいたい。

緑色の光のカーテンがゆらゆらと揺れている

いかがであろうか。光のカーテンのように自在に形を変えていき、時にはグリーン、時には赤と様々な表情を見せてくれる。真っ暗な空に光の筋が現れたかと思えば、あっという間に空全体へと広がり、その下の街を照らすほどの明るさとなる。変幻自在で神出鬼没。なんとも幻想的な存在である。

今でこそ、オーロラは太陽風(プラズマ)によるものとその原理は解析されているが、その本質が分からぬ状況でオーロラに遭遇したとなれば、恐怖心すら抱いてしまうかもしれない。あまりのスケールの大きさに、空がまるでゆがんでいるようにも見えるし、じっと見ていると吸い込まれてしまいそうな存在感でもある。

光の筋があっという間に空全体へと広がっていく

光の爆発のように、あちらこちらでオーロラが出現していくため、目は空に釘付け。気付けば30分以上が経過していた。

予想より軽装でOK。その理由は……

「極寒の地の屋外で30分以上!? 」――ひょっとすると、読者の中にはそんな風に驚く人もいるかもしれない。オーロラ鑑賞といえば、「雪に閉ざされた極寒の地で、ひたすら寒さに耐えながら出現を待つ」という苦行のようなものを想像する方も多いだろう。今回はノルウェー北極圏でオーロラ鑑賞をしたのだが、パッと見るだけならそれほどの重装備は必要ない。30分以上鑑賞していた私ですら、スキーウェアに手袋、帽子といった防寒で十分だった。使い捨てカイロを大量に身体に貼り付けていた同行者は、「暑い、暑い」といって途中ではがしていたくらいだ。

オーロラ観測が可能なエリアは北極圏周辺に広がっている(南極圏でも観測は可能だが、アクセスや費用のことを考えると自然と北極方面に絞られてくる)。北部ノルウェーやスウェーデン、アイスランドやグリーンランド、アラスカがオーロラ出現率の高い「オーロラベルト」に入っている。いかにも寒そうな国々が並んでいるが、実は他のエリアに比べると比較的温暖で、かつ、街中でのオーロラ鑑賞が可能なスポットがある。

オーロラ観測可能なオーロラ帯にノルウェー北部も入っている