函館駅の"列車ホテル"で1泊。そのまま朝を迎えて…
台風4号の通過を受け、JR北海道でも函館本線や室蘭本線などの路線で運休が出たという。函館駅にて急行「はまなす」の運転が中止された後、乗客には"列車ホテル"が用意され、そこで一晩を過ごすことになった。駅の改札口には、噴火湾に面した区間で道床が流失したことを告げる張り紙と、現場の写真が掲示された。
ただ、函館駅で朝を迎えられたのは幸運だったかもしれない。函館名物の朝市はこの日も営業しており、思わぬ形で観光ができた。夜が明けて雨が小降りになったところで駅前に出て、朝市の様子を見て回り、新鮮ないくら丼もいただいた。
東京から36時間。代行バスでやっと札幌に到着
"列車ホテル"の車内でも、8時前にはJR北海道からおにぎり2個と緑茶がふるまわれた。やがて代行バスの用意ができた旨の車内放送が入り、乗客全員がバスへ。函館駅を出発したのは、「はまなす」が函館駅に着いてから9時間後の10時だった。係員の案内によれば、代行バスは「はまなす」の本来の停車駅すべてに立ち寄り、終点の札幌には19時の到着予定だという。
道中、乗客の疲労もピークに達したのだろう。途中駅で20分の休憩を告げられた直後、「一刻も早く客を目的地に行かせるのが先じゃないのか」と係員に詰め寄る人もいた。その一方で、小学生の男の子と旅行中の男性が楽しそうに話す姿もあって、夏休みの宿題の俳句を一緒に考える様子は微笑ましくもあった。
代行バスが洞爺駅に着く頃には天気も回復し、晴れ間も見えてきた。運休だった区間もようやく復旧したとのことで、次の東室蘭駅では乗客の大半が札幌行の特急に乗り換えていった。筆者も苫小牧駅で電車に乗り換え、札幌駅に到着したのは18時すぎ。東京を出発してから、実に36時間にもおよぶ旅路だった。
旅には想定外のアクシデントがつきものだ。だがそれも醍醐味のひとつ。身の危険が及ばない限りは、旅先でのアクシデントを楽しむ姿勢も必要なのかもしれない。
なお、「北海道&東日本パス」は9月6日までJR東日本・JR北海道の駅のみどりの窓口および主な旅行会社で販売されており、利用期間は9月12日までとなっている。