WR8700Nは、ギガビットイーサネットに対応した無線LANルータで、LAN側には4つの有線LANインタフェースを備えている。ギガビット対応のため、最大100MbpsのFTTHサービスだけでなく、KDDIの最大1Gbpsサービス「ひかりoneホーム ギガ得プラン」にも利用できる。公称の有線スループットはローカルで約919Mbps、PPPoEでは約911Mbpsと高速だ。

ブラックボディの本体。後述する無線LANコンバーターもブラックで、最近のテレビのカラーに黒が多いので、そのあたりに合わせているのだろう

本体背面。LANポートが4つ、WANポートが1つ、USBポートが1つある。上部のスイッチを切り替えれば、ルータと単なる無線LANアクセスポイントの切り替えが可能

ローカルでも高速なスループットを実現しており、大容量データのコピーやストリーミングも快適。LAN環境内のメディアサーバから動画を再生するといった用途にも向いているだろう。

無線LAN側も速い。対応しているのはIEEE802.11a/b/g/n。特に2.4GHz帯の802.11b/g/nだけでなく、5GHz帯の802.11a/nをサポート。2.4/5GHzの2つの11nをサポートするのが特徴だ。

アンテナは送信2・受信2のMIMOによって、無線通信の実効スループットは約186Mbpsを実現したということで、無線でのファイル転送も高速に行える。

この高速5GHz帯11nのサポートが、実はWR8700Nの大きなポイントだ。一般的に無線LAN機器で利用されるのは、2.4GHz帯の802.11b/g/nが主流だ。これに対して5GHz帯の802.11aはあまり広まっておらず、5GHz帯11nが利用できる無線LAN機器は多くはない。

[無線LAN設定]-[無線LAN基本設定]から、「2.4GHz通信機能」と「5GHz通信機能」の2つで「使用する」をチェックすると2つの帯域の無線LANを利用できる(初期設定で両方が利用できるようになっている)

しかし、2.4GHz帯はよく使われる分、干渉が大きい。特にBluetoothと無線LANが同じ周波数帯を使っていて干渉するというのはよく知られており、無線LAN利用時はBluetoothをオフにするよう推奨する場合もあるほどだ。また、家庭内の電子レンジも2.4GHz帯を使っていて干渉するといわれ、こうした干渉によって無線LANの速度低下が起きてしまう。

無線LANの設定画面。SSIDの末尾に-Gとついているのが2.4GHz帯の無線LAN

SSIDの末尾が-Aの方は5GHz帯。5GHz帯は3種類の周波数帯域があり、子機の対応次第だが、分からなければ3つともチェックを付ければいいだろう

それに対して、5GHz帯の無線LANだとそうした干渉がない。干渉がないため、無線LANとしての能力がきちんと発揮され、スピードも出やすくなるというのが特徴だ。5GHz帯を使うことで安定したスピードが出れば、HD映像のような大容量データのストリーミングでも安心して利用できる、というわけだ。

実際にテストしてみよう。5GHz帯の無線LANに対応したアップルの携帯端末「iPad」を使い、Bluetoothをオンにした上で2.4GHz帯と5GHz帯を利用してスピードテストサイト「BNRスピードテスト」でテストしてみたところ、それぞれ約13.8Mbps、約20.8Mbps(5回試行時の平均)という値が出ており、2.4GHz帯は5GHz帯の6割程度のスピードしか出ていなかった。

PCや携帯端末といった一般的な無線LAN機器は、2.4GHz帯の無線LANのみをサポートすることが多い。少し古い携帯ゲーム機などでは11bしかサポートしない場合もあるが、いずれにしてもWR8700Nは、2.4GHz帯と5GHz帯の2つの帯域をサポートするので、無線LAN端末ならすべて接続することができる。その上で、5GHz帯が使える機器があれば、その場合は5GHz帯を使うことで、安定して高速な通信が実現できる。