――お2人がそれぞれあこがれの人と対談する企画も興味深いですね。
哲夫 : 「僕は作家の佐藤多佳子さんとお話しさせていただきました。『サマータイム』という佐藤さんの本を読んだんですけど、主人公を変えながら同じ情景を目線をずらして書いていく手法やったんですね。そういう小説って、今は結構あるじゃないですか。『サマータイム』は結構前に書かれた本なんですけど、こんなに前からやってはったんやと思ったんです。なぜこういう手法をとられたんですか? と聞いてみたかったし、あのやり方の先駆者ですよねってご本人に直接言いたかったんです(笑)」
――すごく文学的な興味からの人選だったんですね。
哲夫 : 「僕、いつかエロ小説を出版しようと思ってるんですけど、その目線をずらしていく手法について話を聞いてるうちに、なるほどおもしろいなと思うところもあって、『その手法、パクってもいいですか?』って直談判したりとか。あと、僕の過去のエロ話もさせてもらったんですけど、作品の題材として佐藤さんに関心持っていただけたみたいですね(笑)」
――哲夫さんのエロ小説は楽しみですね。
哲夫 : 「書くことは好きなんですよね。本の中にも、1カ月間日記を書くっていう企画があって、僕は31パターンのお笑いのエキスを注入させてもらいました。1日1日、ネタ帳やと思って」
西田 : 「僕は正直、日記についてはサボってました(笑)。何日か溜めては書くっていう、夏休みの宿題みたいな状態ですね」
――西田さんの対談相手は大槻ケンヂさんですね。
西田 : 「『グミ・チョコレート・パイン』という大槻さんの小説にものすごく感銘を受けまして。主人公が目立たない暗いモテない男子学生なんですけど、でも俺は人と違うんだみたいなことを思ってて、それがあまりにも自分の学生時代と重なるところがあって。それまで、自分のダサくてカッコ悪い過去は恥ずかしいと思ってたんですけど、この本を読んでからは、そういうことをさらけ出すのがおもしろいと思うようになったんです。それが『中学のときイケテないグループに属していた芸人』の僕に繋がると」
――あのルーツが大槻さんにあるというわけですね。
西田 : 「そうですね。そのイケてなさの親玉みたいな人なんですけど、お会いしたことがなかったので、一度お話してみたいなと思いまして。ものすごくええ人でした。博多大吉さんとかにも通じるような、根っから人のいい、でも自分に自信なさげなオーラをまとってるというか(笑)」
――やはり、通じ合うものがあったと。
西田 : 「ただ、学生時代のイケてない度でいえば、到底敵わない感じでしたね。僕は女子と全然話せなかったんですけど、蛇とかがつかめたんで、蛇を見せてキャーと言われたり、気持ち悪いと言われるのが唯一のコミュニケーションやったんです。一方、大槻さんは顔を白塗りにして、ブルマを履いて、バンドを組んで客席に降りて気持ち悪がられるのが唯一のコミュニケーションの取り方だったみたいな。これは敵いませんよね(笑)」
――コンビの飲み会に潜入という企画もありますが、お2人で飲みに行くことはありますか?
西田 : 「飲みには行くんですけど、コンビ組んで10年も経つと、仕事が終わったら一緒にいないんですよね。なので久しぶりに飲んでみて、じっくり話してみてはどうでしょう? という企画ですね」
――飲み会の席ではどんな話をされたんですか?
哲夫 : 「以前はよく飲みに行ってたんで、主にそのころの昔話ですかね。昔、奈良の居酒屋に飲みに行って、そこに千鳥を拉致したことあったなとか(笑)」
西田 : 「あと、映画を観に行ったとき、前にどう見ても哲夫みたいなやつが座ってて、あれはお前やったんか? みたいなことですね(笑)。一緒に仕事してて、昨日も今日も明日も会うってなると、こんなことでもない限りはそんなにしゃべることもないですしね。だいたい何をして過ごしてるのかも知ってますし」
哲夫 : 「親と2人で飲むのって照れくさいでしょ? 親×2のやつと飲んでるみたいな感じです。親以上に照れますよね」……続きを読む