アップル製品の売れ行きが好調だ。全国の主要販売店の実売データを集計しているBCNによると、2010年7月のアップルのシェアは13.8%。NEC、東芝、富士通に次いで4位となっている。また成長率では、対前年同月比285.0%増と3倍近い伸びを達成。NECが45.1%増、東芝が17.5%増、ソニーが5.5%増、富士通が15.9%減となっていることに比較しても、アップルの成長率が突出しているのがわかる。
この背景には、5月に発売したiPadの貢献が大きい。2010年4月までは5%前後で推移していたアップルのシェアは、5月以降、一気に2桁台へと突入しているのだ。実際、機種別ランキングでは、デスクトップおよびノートPCをあわせた集計でも、1位にWi-Fi+3G、64GBのiPadが入ったのをはじめ、1位~3位までをiPadが独占。さらに上位10機種中5機種をiPadが占めるという状況になっている。
ビックカメラ新宿西口店のアップルコーナー担当の村田辰郎氏は、「5月以降、アップルコーナー全体では、前年比2倍の売れ行きとなっている。アップル製品全体のうち、iPadが約半分を占めている。アップルの好調ぶりはiPad効果が大きい」と語る。
iPadは発売から2か月以上を経過しているにも関わらず、販売の勢いはまったく衰えていない。その勢いを維持している背景には、購入層が広がっていることが影響しているといえよう。5月はマックユーザーやパワーユーザーがiPad購入の中心だったが、6月は新しいものに興味を持つユーザーや、Windowsユーザーなどの購入が増加。そして、7月に入ると60歳以上のシニア層が来店するようになっているという。「ここ数週間の傾向をみると約3割がシニア層の来店」と分析する。
ビックカメラ新宿西口店でアップルコーナーが設置されているのは4階。Windows PCの売り場と隣接し、半分がPC本体の売り場、残り半分が消耗品や周辺機器の売り場だ。「シニア層は、どちらかというと消耗品や周辺機器の売り場に向かうことが多く、本体を見に来てもWindows売り場が中心。だが、iPad発売以降は、4階フロアで最もシニア層を集客しているのが、アップルコーナーになっている」とする。
電子書籍ではピンチ操作による表示画面の拡大/縮小などの機能がシニア層に人気が高いほか、PCの代替用途としてネットやメールを使えること、キーボードを持たないことやタッチ操作により直感的に使えることなどが、シニア層の関心を高めている。「この2か月間のiPadの売れ行きは明らかに予想を上回るもの。しばらくこの勢いは持続しそうだ」と予測する。