初心者に優しい、ちょっと特殊なキーボード
ThinkPad Edge 15を触ってみて、従来のThinkPadと最も異なる、場合によっては一般的なノートとも異なると感じるのはキーボード。そこでここにフォーカスして紹介したい。ThinkPad Edgeシリーズでは、ThinkVantageの7列配列ではなく6列配列だ。また、最近のノートブックで多く採用されているアイソレーションキーボードを採用している。ThinkVantageの伝統的スタイルではなく、あえてトレンドも取り込んだかたちになる。ただし、同じアイソレーションキーボードのThinkPad X100eとは配列が異なる。まずは下の写真を見ていただこう。
最近よく用いられるアイソレーションタイプのキーボード。周囲より一段低い位置にキーが配置されているのは、キーレイアウトの縁を感触でも確認できるというThinkPad独特のデザインに通じる。ただしレイアウトに関しては通常のThinkPadとも一般的なノートとも異なる大胆なものだ |
ThinkPad Edgeで追求されたのはシンプルさ。同社によればF1~F12までのファンクションキーの使用頻度は比較的少ないとのことで、通常のF1~F12までの機能をFnキーとの組み合わせとし、従来までFnキーと組み合わせていた機能を通常押しで利用できるという大胆な配列を採用している。例えばPC初心者はそもそも組み合わせキーに不慣れ。日常的にPCを使っている上級者ならF1~F12キーの使用頻度も高いと思われるが、初心者にはむしろ輝度調節や音量調節などがボタン1発でできるほうが便利、というようにも考えられる。
また、PrtSc(PrintScreen)キーの位置も独特。カタカナ/ひらがなキーに続く右Altキーの隣、一般的にアプリケーションキー(右クリックメニューを表示するキー)が配置されている位置に置かれている。PrintScreen自体、普通に使われる際には使用頻度の低いもの。おそらくさらに使用頻度の低い(と思われる)アプリケーションキーの位置に押しこむことで右上部のキーレイアウトを整理したのだと思われる。
さらに、十字キーの左右キーの上にはPgUp(PageUp)とPgDn(PageDown)ボタンが配置されている。ThinkPad伝統の配列では進む/戻るキーの場所だ。こちらはこれと同様の配列が他社ノートでも見られるから戸惑ことは少ないだろう。さらに一段低いキーのため従来の進む/戻るキーよりも打ち間違えも少ない印象だ。
十字キーの傍に配置されたPgUp(PageUp)/PgDn(PageDown)ボタン。この2つのみ形状と高さを変え、押し間違いを防いでいる。ちなみに通常のThinkPadではここが進む/戻るキーであり、突起が付けられているとはいえキーのサイズが同じため押し間違えの頻度が高い |
ただしこうしたキー配列は従来のThinkVantageデザインと異なるというのが事実であり、従来のThinkPadユーザーがThinkPad Edgeを追加、併用するというのはなかなか難しく感じる。このシリーズは新しいユーザー、新たにPCに触れるユーザーを獲得するという点に主眼が置かれていると考えられるだろう。
なお、すでにおわかりと思われるがThinkPadだけにトラックポイントは標準装備だ。ThinkPad Edge 15のそれはThinkPad X100eに用いられているものと同様、一段窪んだところに置かれており、ThinkPadを見て多くの方が懸念する「トラックポイントって液晶に傷が付くんじゃない?」という点を払拭している。なお、高さが若干異なるわけだが、使用感は通常のトラックポイントと大きくは変わるものではない。また、パームレストには中央ボタンを備えたクリックボタンも配置されており、ThinkPad特有の中央キーを押しながらトラックポイントでスクロールする操作も行える。