スマートフォンで火花を散らす3社

iPhoneが火を付けた国内のスマートフォンブームは、ドコモでは今年度100万台の販売を想定。すでに発売済みのAndroid端末「Xperia」は10月にOSのバージョンアップを行うほか、9月にはスマートフォン向けにiモードメールを対応させる「spモード」を導入し、コンテンツ決済にも対応させる。

今夏のモデルではスマートフォンを3機種リリースするドコモだが、さらに10~11月にはSamsung Mobileの「GALAXY S」を発売し、さらにこれまで今年冬には5機種を発表するとしていたが、これを上乗せして7機種発売する考えだ。

「自分にあったスマートフォンを買ってもらえるようにラインナップを充実させたい」(山田社長)考えで、おサイフケータイ、iコンシェル、iチャネルといった既存のサービスをスマートフォンで対応させた端末を用意していく意向だ。

スマートフォンだけでなく、iモードも「ブラッシュアップしていきたい」(同)。これまで、iメニューサイトに掲載される公式アプリでは、CP側がサーバーを用意する必要があり、個人が出すことはできなかったが、スマートフォン向けアプリ配信プラットフォーム「ドコモマーケット」のiモード版を構築し、ドコモがサーバーを用意して配信できるようにする考えだ。

自身でアプリマーケットを構築し、既存の携帯ユーザー向けのサービスを提供していくのはau側も同じ考えだ。さらにauでは、「EZwebのような垂直統合型だけでなく、オープン型のプラットフォーム」(小野寺社長)も構築していく意向で、現在開発中のAndroid OSを搭載したセットトップボックス(STB)を紹介する。

これを使えばスマートフォンと同じアプリが利用できて効率化が図れるとともに、スマートフォンをリモコンとして利用し、STBを家庭内のハブとしてさまざまな機器とシームレスに連携させる、といった将来像を描く。小野寺社長は、自宅で一番接する時間が長い画面はテレビ、プライベートな状況では携帯という分類をし、この2つの画面をつなぐことで新たなサービスを提案する。たとえばテレビのリモコンとして使うだけでなく、テレビを見ながら買い物がしたくなったら、すぐにその場で携帯を使って決済できる、といったことも可能になるとしている。 iPhoneを抱えるソフトバンク側は、Android端末にも力を入れるとしており、「シャープ製のものなども出てくるので、着実にスマートフォンが伸びる」(松本副社長)と話す。AppleとGoogleが携帯OS市場で強力なライバル関係で、「日本の会社は、OSを出すにはすでに勝負は決まっている」(同)ため、松本副社長は端末で世界に勝負するよう訴えている。

松本副社長は、どうしても寡占となる通信事業者同士の中で、日本は4社が健全な競争状態にあると指摘。国内ではキャリアが主導してネットワーク、端末、サービスを提供している「トータルバリューを理想的な姿」(同)と見ている。このエコシステムを「世界に広げようと考えている」(同)と話し、山田社長も日本の技術を世界に広げる考えを示している。