東京有明の東京ビッグサイトで14日から開幕した「ワイヤレスジャパン 2010」の基調講演で、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの3社の代表が登壇し、今後の携帯電話ビジネスについて各社の考えを披露した。この3社の講演を比較してみよう。

左からドコモの山田隆持社長、KDDIの小野寺正社長、ソフトバンクモバイルの松本徹三副社長

増大するトラフィックにどう対処するか

今回、基調講演に登場したのは、NTTドコモの山田隆持社長、KDDIの小野寺正社長兼会長、ソフトバンクモバイルの松本徹三副社長の3人。3人の共通した見解が、今後もデータ通信量の増大が続き、このままではユーザーからの要求に応えるのは「不可能」(松本副社長)だという点だ。

もともと日本は世界に先駆けてiモードを始めるなど、「他国に比べてデータ通信の比率が高い」(山田社長)のが特徴。松本副社長は、パケットARPU(1ユーザー当たりの月間平均収入)で5割を超えた携帯事業者は「ソフトバンクが世界初」とし、ドコモもKDDI(au)もデータARPUの比率は高く、減少が続く音声収入を補うデータ収入が得られるようになっていると指摘。これに関しては「世界からも注目されている」が、それに伴いトラフィックも増大しているという。

小野寺社長によれば、現在のauのトラフィックは1契約当たり0.5kbps程度で、3,000万契約分のトラフィックが流れている。これまでの伸び率は予測値に近いが、この想定にスマートフォンは入っていなかった。松本副社長は、iPhoneの導入でデータ通信量が7~8倍に増大したと話しており、小野寺社長も「(予測の)4~5倍には優に達する」と見ており、2015年ごろにはデータ通信量は1契約当たり4.1kbpsと10倍になると予測する。

松本副社長はさらに、アップルの最新スマートフォン「iPhone 4」では、Retinaディスプレイで解像度が4倍になり、マルチタスキング機能も搭載した点を紹介し、「解像度が4倍になってデータ量も4倍。マルチタスキングによって、これまで人の手で1回ごとに行っていた通信が自動で行われて通信量が増える」と指摘し、「将来のデータトラフィックの予測は不可能」としている。また、今後5~6年で50~200倍にも達するのではないかという予想も披露した。

こうした増大するトラフィックに対する対策は三者三様だ。