撮影時の設定としては、LEDフラッシュのオン・オフ・自動が設定できる。LEDは強力に点灯する。正直、人に向けるのがはばかられるほどまぶしい。直線的なLEDの発光なので、明るくなる範囲も狭く、スローシンクのような機能もない。

撮影時のUIでは、左下にある「オン」をタッチすると、LEDの設定切り替えができる。左上にあるのはインカメラとアウトカメラの切り替え

LEDフラッシュは非常に明るい。静止画時よりも、動画撮影時に常時点灯するのは便利だ

作例(拡大画像は実寸大)

照明下での撮影(左)と暗闇でLEDフラッシュを使った撮影。暗いシーンでもきちんと撮影できるので役立つが、光の届く範囲は広くない

そのほかは、画面にタッチすると下部にスライドバーが表示され、スライドさせることでデジタルズームが利用できる。単純なデジタルズームで、画面中央を拡大表示し、撮影された画像を500万画素に拡大するだけなので、画像は当然粗くなる。高画素カメラだと画面中央部を切り取り、擬似的に画質劣化のないズームを行うものもあるが、iPhone 4にはそうした機能は特に搭載されていない。

設定できることはこれだけ。とにかく、単にiPhone 4を構えて、ピント合わせしたい部分にタッチして、シャッターアイコンを押せばいい。後はカメラ任せ。この単純さが、iPhone 4のカメラのいいところだ。やはり携帯カメラの良さは、手早く手軽に撮影できるという点にある。カメラがシーンを自動判別して最適な設定をしてくれるおまかせ機能や顔検出といった機能ぐらいは欲しいところだが、細かい撮影設定をするぐらいなら、普通のコンパクトデジカメを使った方がよい。

ちなみに、iPhone 4は3.5インチ960×640ピクセルのワイドディスプレイ(と表現されているが、一般的な16:9ではなく3:2のアスペクト比)を搭載しており、画面解像度が326ppiになる。アップルではこれをRetina(網膜)ディスプレイと呼んでおり、まるで「ハメコミ合成」のような非常に美しい画面表示になっている。撮影時、縦持ちした場合の画面左下には最新の撮影画像が表示されており、それをタッチすると再生モードに変わる。Retinaディスプレイの美しい表示で画像を確認でき、ダブルタッチ、ピンチイン・アウト、フリックで閲覧できる快適さは、普通のデジカメにも欲しいぐらいだ。

ただ気になったのは、画面を横にして撮影する場合に、液晶で見える範囲と実際に撮影される範囲が異なるという点。これは、Retinaディスプレイが3:2のアスペクト比なのに撮影画像が4:3になるからで、それを3:2のディスプレイ一杯に拡大表示するため、実際は撮影される部分が隠れてしまうのだ。これは横持ちで撮影する場合には視野率が100%にならない、ということだ。

再生時に縦で閲覧している画像

同じ画像を横向きにしてみると上下が切れているのが分かる。撮影時もこのように上下が切れた状態で見えている

再生時も、標準では撮影時と同じ表示になるが、ピンチアウトすることで隠れていた部分が表示され、画像全体を閲覧できる。iPhone 4だけで画像を見る分には困らないのかもしれないが、画像をPCなどに転送した場合に、思わぬ余計なものが入り込んでいる可能性があるので注意が必要だ。