簡単で素早く撮れる携帯カメラ

さて、実際のiPhone 4である。カメラを起動すると、いつも通りの絞りが開くようなアニメーションでカメラが起動する。起動すると自動的に画面中央にピント合わせが始まるので、そのままシャッターアイコンをタッチすれば撮影が行われる。

iPhoneはカメラ用のハードウェアボタンはないので、ホーム画面のカメラアイコンをタッチしてカメラを起動する。ちなみに、CMOSセンサーの特性上、速く動く被写体やカメラを素早く動かした場合に被写体が歪む現象は、従来通り発生する。電車などを取ると、動画でもその様子が見て取れる

撮影時はこんな感じ。横持ちでも縦持ちでも、どちらでも撮影できる。全体的に直線的なボディデザインになったので、横にして置くと自立するようになった

タッチAF機能も備えており、ピント位置を変更したい場合、画面上の任意の位置をタッチすればそこにピントが合う。通常時のAFに比べて、タッチAFの方がピントの合う範囲が狭く、よりピンポイントでピント合わせができるようだ。

ただ、iPhone 4のAFは、あくまで「ピントを合わせようとする」だけで、実際にピントが合っているかどうかは特に考慮されていないようだ。合焦した場合の表示もないし、撮影してみると、特にマクロや小さい被写体でピントが外れていることもあった。なるべくピント合わせをして、合わなくてもとりあえず撮影してしまう、というポリシーのようだ。厳密性を求めないで即時性を重視したということだろう。この辺りは携帯カメラとしてはそれほど間違っていないと思う。動作は高速で、サクサクと撮影できる。無理に高画素化してファイル容量を大きくしていないため、ハンドリングが良いというのも大きいだろう。

起動時に、まずは中央にピント合わせが自動的に行われる

画面にタッチすると、その場にピント合わせが行われる

レンズのF値はF2.4と明るいレンズ。レンズが明るいとシャッタースピードが速くなり、手ブレが防ぎやすくなるので、手ブレしやすい携帯カメラでは重要なポイントだ。レンズの焦点距離は3.85mmで、35mm判換算だと32mm程度になるようだ。最近のコンパクトデジカメのトレンドからするとそれほど広角ではないが、扱いやすい画角だし実用的だ。

レンズ自体はさすがに携帯カメラレベルで特筆する部分はないが、光が適切に回った被写体ではよく写る。シャープネスが強く、iPhoneの画面で見る分にはしゃっきりとした見栄えの良い画像になる。

作例(拡大画像は実寸大)

コンパクトデジカメのソニー「DSC-WX1」で撮影した画像(左)とiPhone 4。DSC-WX1の32mm付近で撮影して同じぐらいの画角になる。iPhone 4の方が色味は派手で、シャープネスも強めだが、見栄えはいい

さらに暗部に強い裏面照射型センサーのおかげか、高ISO感度時の画像は向上している。デジカメレベルとまでは言わないが、iPhoneの画面で見る限りは十分な写りだ。ただ、低ISO感度時にやや画像が荒れるのは、裏面照射型センサーの弱点と言えるかもしれない。

ISO感度やホワイトバランスの設定はなく、すべてオートになる。ISO感度は1/15秒を境に、ISO80~ISO1000まで増感するようだ。1/15秒は少し遅すぎないかと思う。実際手ブレもよく発生してしまった。ホワイトバランスは晴天下で白い花が黄色みを帯びる場合もあり、ちょっと不安定な印象だ。露出に関しては特に問題は感じなかった。

作例(拡大画像は実寸大)

シャッタースピード1/15秒でISO500。携帯カメラとしては十分健闘しているレベル

こちらは1/15秒でISO80。ISO80なのでよりクリアだが、もう少し感度を上げてシャッタースピードを上げてくれてもいい