MacBook Pro 17インチモデルの外観だけを見ると、前モデルと比べて変わったところがほぼわからない。しかし実は、見えないところで着実に進化を遂げているのだ。
まず、グラフィックチップはIntel HD Graphics(CPU内蔵)とNVIDIA GeForce GT 330Mのハイブリッドとなった。NVIDIA GeForce GT 330Mが搭載されたことで、旧モデルに比べ描画性能の向上はもちろんのこと、エネルギー効率も30パーセント向上している。これによりバッテリ駆動時間は約8時間となっている。このハイブリッドシステムでは、グラフィックスパワーが必要な時(3Dゲームのプレイ時など)はNVIDIA GeForce GT 330Mが使用され、Web閲覧やメールを読む時などはIntel HD Graphicsが使用されるといった形で、ユーザーがいちいちどちらを使用するのかを設定する必要はなく、自動的にかつシームレスに変更される。
NVIDIA GeForce GT 330Mのメモリは512MB |
Intel HD Graphicsは、CPU内蔵型といえどもメールチェック程度であれば、遅いと感じることはない。3Dゲームや動画編集ツール「Motion 4」を使用して立体的な動作付けなどを行なう場合は、自動的にNVIDIA GeForce GT 330Mに切り替わるので、処理速度低下の心配もない |
その他小さな変更だが、トラックパッドの2本指の動作に対して「慣性」がつけられるようになった。画像を拡大しスクロールするといった際に、いままでは指で動かした分だけ画像が移動していたが、慣性を利用して滑るような感覚で移動するようになる。これはオンオフの切り替えが可能で、システム環境設定のトラックパッドの項目に追加されている。
性能として一番重要なCPUについては、Intel Core i5が搭載されたことで、Intel Core 2 Duo搭載の旧モデルと比較すると、最大で約1.5倍近い高速化が図られている。Intel Core i5には、自動的にクロック周波数を上げ処理を高速化するIntel Turbo Boost Technologyや、1コア当たり2つのスレッドの同時処理が可能なIntel Hyper-Threading Technologyが搭載されている。このため、ムービーや画像編集などを行なうユーザーは旧モデルよりかなり処理速度が速いと感じられるはずだ。さらに高速なCPUを搭載したいと考えるユーザーは、アップルストアでIntel Core i7にアップグレードできるので、検討してみてはいかがだろうか。
全体のパフォーマンスを数値化するため、「Xbench 1.3」を利用したベンチマークテストを行なってみた。CPUについては、200を超える数値結果となった。正確な比較とはならないが、筆者が普段使用している1世代前のMacBook Pro 13インチ(Intel Core 2 Duo 2.53GHz)で計測してみたところ、175.82だったので、同じ2.53GHzでも差は歴然だ。
■Xbench 1.3ベンチマークテスト結果(抜粋) | |||
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Results | 165.22 | System | 344.62 |
Xbench Version | 1.3 | Stream | 288.09 |
System Version | 10.6.3 (10D2094) | Quartz Graphics Test | 206.95 |
4096MB | 213.92 | ||
Model | MacBookPro6,1 | User Interface Test | 324.86 |
Drive Type | Hitachi HTS545050B9SA02 | Disk Test | 51.10 |
CPU Test | 200.28 | Sequential | 121.78 |
Thread Test | 491.44 | Random | 32.34 |
Memory Test | 313.83 | - |
Thread Testについては13インチの303.70に対し、MacBook Pro 17インチモデルでは491.44と、1.3倍近いパフォーマンスアップとなっている。クリエーターやパワーユーザーなど処理速度にこだわるユーザーであれば、このパフォーマンス性能にきっと満足するはずだ。