VAIO Zの長所は、あらゆる作業がストレスなく行えるパフォーマンスの良さを実感できる点にある。CPUは店頭モデルでもCore i5、ソニースタイルのVAIOオーナーメードではCore i7も選択できる。グラフィックスとしてIntel HD Graphics(CPU内蔵)とNVIDIA GeForce GT 330Mを搭載。さらにSSDを4つ、RAID 0構成で利用することによってさらなる快適動作を実現している。それでありながら本体重量は1.35kgと、十分持ち歩けるレベルだ。
モバイル環境でも、ストレスフリーのパフォーマンスを発揮してくれるVAIO Zなので、いつでも持ち歩きたくなる。そしていつでも持ち歩けるとなると、課題となるのが屋外でのネット環境だ。
メールやインスタントメッセージ、Twitterといったコミュニケーションサービス、大容量ファイルの受け渡しや動画配信といった各種のWebサービスなど、最近のPC用途は、ネットワークを前提としたものが多い。ところが一般的にノートPCの場合、携帯を接続するか、公衆無線LANサービスで接続するといった一手間が必要になる。
しかし、イー・モバイルやウィルコム以外はPCのモデム利用で追加料金が必要だし、ダイヤルアップの手間がかかる。公衆無線LANだと、利用できる場所が限られるというのが課題だ。
いつでもどこでもPCを持ち歩いているのだから、いつでもどこでもネットに繋ぎ、さらにVAIO Zを快適に使いたい。そういう場合に使って欲しいのがWiMAXのサービスなのだ。
高速大容量の次世代通信「WiMAX」
本稿で利用するUQ WiMAXは、UQコミュニケーションズが展開するモバイルWiMAXサービスだ。モバイルWiMAXは、高速大容量の無線ブロードバンド接続サービスとして、現時点で下り最大40Mbps、上り最大10Mbpsの通信速度を実現しており、下手なADSLサービスであれば、固定回線以上の通信速度を実現してくれる。
そのスピードは、一般的な携帯の下り最大7.2Mbpsや同21Mbpsよりは速く、公衆無線LANの同54Mbpsに迫るレベル。ベストエフォートのサービスであるため、40Mbpsの最高速が出ることはまずないが、家庭で8Mbpsや12MbpsといったADSLサービスを使っている場合なら、「家と同じ(かそれ以上)のスピードが、屋外でも利用できる」のだ。
実際に通信速度のテストを行ってみたところ、東京都・神田と永田町でそれぞれ通信速度計測サイト「BNRスピードテスト」で計測したところ、それぞれ下り3Mbps程度、上り600kbps~1Mbps程度の速度が出た。10Mbps近い数値をたたき出した瞬間もあって、体感的には十分な速度だった。
通信速度計測サイト「BNRスピードテスト」計測テスト(5回試行しての平均) | ||
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計測値 | 神田 | 永田町 |
下り(Mbps) | 3.035 | 2.872 |
0.617 | 1.1082 |
課題の1つはサービスエリアだ。UQは2009年7月の本サービス開始以来、着実に基地局を拡大してきており、現在の基地局数は7,013局(2010年3月末現在)を突破。政令指定都市や県庁所在地であれば問題なく利用できるようになっている。日々エリアは拡大しているので、いつの間にか使いたい場所がエリア内に入っていることもありえる。とはいえ、まだ一般的な携帯ほどサービスエリアが広がっているとはいえない。
それでも、東海道新幹線(N700系)や成田エクスプレス(E259系)の車内では、モバイルWiMAXの電波を無線LANに変換しているほか、都営地下鉄や空港などでも公衆無線LANサービスを提供しており、サービスの補完を計っている。
2.5GHz帯の周波数帯を使っている関係で屋内への電波の浸透性が低く、ビルやホテルの中など、屋内に弱い点も課題だが、このあたりは小型基地局などの対策で順次解消される見込みだ。
手ごろな料金プラン
高速通信でありながら、料金も手頃な価格を実現している。UQ WiMAXでは、基本の料金プランとして月額4,480円の「UQ Flat」を提供。どれだけ通信をしても、上限金額以上の料金はかからない定額制を採用している。他に必要な料金はないし、2年契約などの拘束もないので、いつでもプラン変更や退会も可能だ。
プランとしては他に、月額380~4,980円の2段階制の料金プラン「UQ Step」も提供。それほど頻繁に通信しないなら月額料金が抑えることができるので、自分の用途に応じて使い分けるといいだろう。
さらに、丸1日(24時間)使い放題の1日利用プラン「UQ 1 Day」(600円)も用意。1日だけならどれだけ使っても料金は変わらないので、出張の時だけ利用したい、といったような場合に便利だ。
こうした3つの料金プランに加え、UQではMVNOとして回線を提供しており、様々な企業がWiMAXサービスを提供している。好きな企業のサービスを選択できるというのも強みだ。