NVIDIAの3D Visionキットが標準付属するASUSTeKの15.6型ノート「G51Jx 3D」は、映像やゲームを3Dで楽しむことのできるゲーミングノートPCだ。特に3Dゲームを楽しむことに向いているこのモデルが実現する、3D映像の見え方はどのようなものなのか。飛び出し具合や使い勝手に注目して試用してみた。
■試用機の主な仕様 [CPU] Intel Core i7-720QM(1.6GHz) [チップセット] Mobile Intel HM55 Express [メモリ] 4GB [HDD] 約500GB [光学ドライブ] Blu-ray [グラフィックス] NVIDIA GeForce GTS 360M [ディスプレイ] 15.6インチワイドLED(1,366×768ドット) [OS] Windows 7 Home Premium 64ビット版 [価格] 209,800円
はっきりとした立体感の得られるアクティブシャッター式3D
3D対応PCは今期流行で、各社様々なアプローチが行われているが「G51Jx 3D」は3Dでゲームを楽しむことを中心としたゲーミング3D PCだ。
採用している3D方式はアクティブシャッター方式で、電池を内蔵した少々ゴツめの3Dメガネの左右レンズが高速で開閉し、左右の目に違った映像を見せることで立体視を実現する。開閉といっても、レンズ色が黒と透過で切り替わる形だ。ディスプレイに表示される映像は左右や上下にブレた状態になる。
実際にメガネをかけて3D映像を見てみると、比較的簡単に立体感が得られた。ディスプレイ正面位置から多少ズレていても、顔をいくらか傾けても、立体視は崩れない。偏向方式に比べると容易に立体視ができる。また、ブレ幅を大きくすることで立体感を大きくすることができるのだが、メガネなしで見た場合にはほとんど表示内容が判別できないくらいまでブレていても、非常に立体的に見えるのには驚いた。
立体感は、基本的に奥行きを感じる形で表現される。前景と背景の間に空気があるというか、きちんと距離があるように見える。見る位置をわずかに左右にずらすと、若干ではあるが最奥を軸にして円を描いて移動したように視界が変化する。画面内を横移動するものや、奥へ向かって移動するものはあくまでも画面内での立体感に留まるが、奥から手前に向かって飛んでくるものはディスプレイ表面を飛び出しているように感じられた。サンプル映像中ではラリーカーが巻き上げた砂利と、レース表彰台でのシャンパンファイトで吹きかけられるしぶきが、明らかに自分に向かって飛んでくるように見えた。
容易に確実な立体感を得られるのは楽しいが、アクティブシャッター方式は常にどちらか一方の目の前には黒い幕が下りている状態になる。その黒も脳内では統合して見ているため、視界が非常に暗い。3D視聴をオフにした瞬間、今まで消してあった部屋の電気がつけられたのかと思うほどに明るさに差がある。また、目の負担も大きいように感じた。ブレ幅を大きく、3Dの深度を深くした映像ほど疲れが強い。特に深度の深い映像は、元々同一視できる範囲に個人差があるようだ。疲れてくると許容範囲がさらに狭まった。頭痛がするというほどではなかったが、数人で試してみたところ早い人では数分で目の奥が重いと訴えた。人によっては車酔いのような感覚も出る。やはり目や脳を騙している状態なわけで、自然な状態からは遠い。
ただし、立体感による迫力は確かに感じられた。バイオハザード5のサンプル映像では、人が動く方向や物の遠近などが非常によくわかり、臨場感もあった。これでゲームをしたら面白い、いろいろなゲームをしてみたいとは思うものの、果たしてゲームプレイ中どのくらい同一視を保つことができ、疲れを感じずにいられるのかは個人差なので一律には論じられない。使ってみようという人は、短時間から徐々に慣らした方が良いだろう。