3D元年、3D Visionは3D表示をさらに多くの領域へと拡大
さて、最後が3Dだ。日本でも最近は3D TVが家電量販店などに大量展示されていて目につく機会も増えてきたが、映画コンテンツの世界だけでなく、NVIDIAの3D Visionは3D表示をさらに多くの領域へと拡大する。ここから先のHuang氏によるプレゼンテーションは3D表示オンリーとなり、来場者に対してあらかじめ配布された3Dグラスを着用しての聴講となる。こうした趣向は最近さまざまなイベントで増えており、例えば今年1月に米ネバダ州ラスベガスで開催されたInternational CESでのNVIDIA発表会において、やはりHuang氏はイベントの約半分の時間を3Dグラスによるプレゼンテーションに投じていた。
ゲーム映像の進化。初代ファミリーコンピュータ(NES)時代から四半世紀の時を経て、3D Visionでの3Dゲームが各家庭で楽しめるようになったという。なお、画面が二重映像に見えるのは3D表示されている画像を普通のカメラで収めたためであり、手振れ等のミスではないことをご容赦いただきたい |
会場ステージには台湾ASUS CEOのJerry Shen氏が登場し、同社が提供する3つの3D Vision対応PC製品をアピールした。ノートPCはこれまでにも紹介されていたが、それ以外にはオールインワンPCやゲーミングPCなど、さらにラインナップを拡充させている。特に興味深かったのがASUS CG5390と呼ばれるゲーミングPCで、3D Visionでのフルモードである3画面表示でのゲームプレイに対応する。レーシングゲームなどのデモでおなじみだが、もし財力に余裕のあるヘビーゲーマーであればぜひ試してみてほしい。
台湾ASUS CEOのJerry Shen氏がステージに登場して3D Vision対応PCラインナップの数々を紹介する。キーノートスピーカーやゲストを含む会場の全員が3Dグラスをかけてイベントを進行するというのも面白い。別にマトリックスに登場するエージェント・スミスの真似をしているわけではない |
また3D Visionのデモでは、前述のテッセレーションのデモストレーションも再び実演された。3D+テッセレーションというわけで、より多くのパフォーマンスが必要とされることになる。このうえでさらにアニメーション中の画面がどのように緻密に描かれているかを3D表示の最中に示すわけで、Fermiパワーを見せつけるのが狙いとなる。
テッセレーションの能力を把握することができるもう1つのシーン。テッセレーションは画面状態に合わせてオブジェクトの描画密度を自動調整し、パフォーマンスを落とさずに最適化が可能な能力を持っている。つまり遠景ほどおおざっぱとなり、近景ほど詳細な描画が行われ、それがワイヤーフレームの状態で確認できる |
このほか3Dのメリットとして、映像記録についての話題も紹介された。現在のところ、富士フイルムのデジカメでの3D対応が知られているが、最近ではソニーがミラーレスのαデジタル一眼レフカメラで同種の機能を搭載しており、対応メーカーが少しずつだが増えている。Huang氏によれば、現在は見られる環境が限られていても、一度記録した写真であれば将来にわたっても3D映像で楽しむことができるという。例えばマウント・ラッシュモアの歴代大統領彫刻やロンドンのタワーブリッジなど、現在は手振れのような二重画像で表示されていても、いつの日か3D環境が完備されたなかで昔の映像を再生すれば、そのときに3Dとして再び過去の記憶が浮かび上がってくることになる。