テッセレーションがジオメトリ性能進化のルールを変更する

Huang氏が示した2つめのテーマがDirectX 11となる。NVIDIAは先日、Fermiアーキテクチャを採用した初のDirectX 11対応GPU製品をリリースしたが、ここでの大きなセールスポイントは「テッセレーション(Tessellation)」にある。テッセレーションはジオメトリ性能を補完する技術で、ポリゴン平面に対して起伏に関する情報を付与することでさらに複雑な立体図形描画を可能にする。このテッセレーションを実現するエンジンとして、NVIDIAではFermiのことを「テッセレーション・モンスター」と表現しており、従来比で圧倒的な性能差を体感できるという。

Huang氏が示す2つめのテーマがDirectX 11だ。これまでシェーダプログラミングなど、世代を追うごとに大きな進化を続けてきたGPUの世界だが、最新のDX11では「テッセレーション(Tessellation)」と呼ばれるジオメトリ性能を補完する技術が導入されている。NVIDIAが最近発売したFermiベースのGPUでは、このDX11の最新機能を初めてフルサポートする

テッセレーションのデモはこれまで数多く紹介されているが、実際のポリゴン数で比較すれば一目瞭然だろう。NVIDIAが最初期のGPUを発表した1999年から10年で、ゲームキャラのポリゴン数は1000から1万5000と10倍以上に進化したという。だがテッセレーションの導入により、これがわずか1年ほどで100倍以上の進化を見せることになるという。Huang氏は「もしテッセレーション導入とアーキテクチャの刷新がなければ、右端のオプティマスプライム(コンボイ)に到達するまでに気の遠くなるような時間がかかっただろう」と説明する

テッセレーションのパワーに関しては実際のデモ映像を見るのが近道だ。例えば1999年のDX7世代のGPUに比べ、2009年時点の最新GPUでは10年間で約10倍近いポリゴン性能向上が実現できているという。ところが2010年に登場したFermiベースのGPUでは、わずか1年でそのジオメトリ性能を100倍以上に引き上げることが可能だという。これがテッセレーション導入効果だ。実際にテッセレーション導入前後で、ジオメトリ性能の向上カーブが従来からは考えられないレベルで飛躍的に増加していることがわかる。

Fermiでのジオメトリ性能向上を示すのがこのグラフだ。シェーダ性能の伸び率グラフを逆転する現象を起こしている

またテッセレーション効果は、静止画の比較で誰でもが簡単に理解できるわかりやすさがある。イベントでは岩の巨人の動作デモが公開されたが、テッセレーション効果をオフ/オンにすることで、その描画された画像の質感はまったく異なっている。これはワイヤーフレームモードで頂点情報とそれを結ぶ線を表示させるとハッキリする。密度が桁違いだからだ。Huang氏によれば、同じシーンで10倍近い緻密さの差があるという。

テッセレーションを理解するためのサンプルの1つ。従来までであればポリゴン表面に沿ってテクスチャが平面的に張り付いている形となるが、テッセレーションにより表面の岩の"ごつごつ"や階段がきちんと凹凸をもって表現されている

同じ画像をワイヤーフレームモードで分解してみる。赤線で表現されるのが頂点とそれを結ぶポリゴンの線だ。これで確認すれば一目瞭然だろう

シーンごとの詳細さが10倍向上するというのがテッセレーション+Fermiでのセールスポイントだ