それが顕著に表れるのが同社のソフトウェア戦略だ。Intelは「AppUp」というAtom向けのいわゆるアプリストアのベータ版の提供を行っているが、新規分野を中心に可能な限りAtom+MeeGoの組み合わせをプッシュする計画を練っている。例えばタブレットではWindows 7やAndorid、ネットブックではWindows 7 Starterや今後登場するChrome OSをサポート対象としているが、それ以外のTVや組み込み分野では基本的にMeeGoを戦略の中心に据えている。同社が買収したWind Riverの今後の扱いはまだほとんど不明な状態だが、MeeGoや組み込み向けLinuxのソリューションに何らかの形でフィードバックを反映させていくものと思われる。
IntelがAtomで狙う市場ターゲットと、それぞれに対応したソフトウェアスタック。基本的にはMeeGoをプッシュしているのがわかるだろう。一方で人気が高く、ボリュームゾーンとなっている市場はWindowsやGoogle製OSなど、複数のサードパーティを想定している |
ターゲットの定まりつつあるMeeGoに対し、買収したWind River系OS (VxWorks)などの扱いは、現時点でまだよくわからない。既存市場の維持以外に、Intelがどのようなアレンジを加えてくるのだろうか? |
もう1つ、組み込み向けAtomで興味深いのが同社が「Smart TV」と呼ぶ多機能TVの世界だ。Intelはこの分野に向けてCE3100やCE4100といったAtomコアのSoCをリリースしているが、正直なところ、現時点で市場への食い込みには苦戦している。だが5月中旬に発表が予想されている「Google TV」では、GoogleやソニーとともにこれらCEコアを使ったSmart TV登場が見込まれており、同社としては初の大型案件となるかもしれない。Smart TVを構成するソフトウェアスタック群から、HDや3Dなどの技術を標準搭載しつつ、同社がいわゆるインターネットとTVを融合した端末を計画していることがうかがえ、これがGoogle TVのヒントになるかもしれない。