「WinProtector」を支える便利な機能
最後に「Arkランチャー」から起動できるツール群にも触れておこう。「WinProtector」によってホストドライブを保護した場合、ユーザーアカウントに関する各更新情報やドキュメントフォルダなどに保存したデータは一時ファイル上に書き込まれるため、一時ファイルの適用を行なわない場合、すべて破棄されてしまう。
そのため「WinProtector」には、ユーザーフォルダの内容をすべて別ドライブにコピーし、各フォルダを参照するレジストリ情報を自動的に書き換える「データトランスファー」が用意されている。本来ユーザーフォルダのレジストリ情報を書き換えるのは少々面倒な作業だが、同ツールを使用すれば、コンピュータ初心者でも簡単にデータの保存先を変更できるだろう。
ただし、同ツールはあくまでもユーザーデータの保護を主旨としているため、ドキュメントフォルダなど一般的なデータフォルダとアプリケーションの設定保存に用いられるAppDataフォルダの変更にとどまっている。ユーザーフォルダはあくまでも「C:\Users」以下となるため、完全なユーザーフォルダ移行ではないものの、データ保護という観点から見れば十分だろう(図18~21)。
図18 「データトランスファー」実行時は各アプリケーションの終了をうながされるので、指示に従ってから<OK>ボタンをクリックする |
図19 ユーザーデータの移行先となるドライブを選択してから<次へ>ボタンをクリックする。なお<詳細モード>を有効にしてウィザードを先に進めた場合、移行フォルダやデータの選択が可能だ |
図21 完了後はコンピュータの再起動をうながされるので、<はい>ボタンをクリックしてコンピュータの再起動を実行する。これで設定完了だ |
「ComfortDisk」は、Windows OSが持つパフォーマンス向上系機能の有無を簡単に設定するためのツールだ。例えば自動でフラグは、アイドル状態時にドライブの断片化を改善するための機能だが、保護対象ドライブへの書き込みが多発し、一時ファイルを増加させる原因となる。このような機能を抑制することで、保護環境を向上させることが可能だが、Windows OS全体のパフォーマンスは低下する可能性があるので、あらかじめデフラグやインデックスの作成を終えてから、保護機能を実行すればいいだろう(図22)。
図22 Windows OSの各設定を変更する「ComfortDisk」。コンピュータ環境や使用スタイルに応じて設定して欲しい |
「WinProtector」に関する機能を駆け足で見てきたが、今回試用したバージョン3からは、一時ファイルの展開先に物理メモリが加わり、複数ドライブの同時保護も可能になったことで、保護機能による堅牢性は高まっている。その一方で、確かにホストドライブへの書き込みをトラップするなど、クリティカルな操作を内部的に行なっているため、コンピュータ環境や導入済みのアプリケーションといった諸条件によって正しく動作しないケースや、Windows OSのスリープ機能などが動作しないという制限もある。
それでも各所で行なった、もしくはウイルスなどが勝手に変更した内容を破棄し、簡単にクリーンな状態へと元に戻せるのは大きな魅力となるだろう。最初に述べたとおり、特定多数が使用する共有コンピュータや、Windows OSの設定を完全に終え、常にクリーンな状態を保ちたいと思うユーザーにはメリットの大きいツールとなるはずだ。