Concert Ticket +
「Concert Ticket +」は、電子チケットを管理するためのアプリだ。iPhoneなどのモバイルデバイスの他、デスクトップなど母艦となるMacにも同様のアプリケーションが用意される。電子メール経由など、何かしらの方法で入手した電子チケットはこのConcert Ticket +に蓄積され、必要時応じて互いに接続されたiPhoneとMacの間でやり取りが行える。
また、電子化されていない紙のチケットを取り込むことも可能で、その方法は2つあり、1つは2次元バーコードのような印刷をiPhone(またはiMacなど)のカメラで取り込むこと、もう1つはNFC(Near Field Communication)と呼ばれるRFIDを使った近距離無線通信を用いてデータをスキャンする方法となる。同特許では、NFC-enabled iPhoneとなっているが、今後iPhoneがこうしたRFIDタグスキャナやICチップの機構を取り込んでいくのか不明だが、興味深い話題ではある。
iTunes Concert Ticket
Concert Ticket +での興味深いポイントの1つは、Apple自身がチケット販売事業に乗り出すのかという点だ。VentureBeatが指摘しているが、米国ではチケット販売大手のTicketmasterがLive Nationと合併して「Live Nation Entertainment」となり、事実上のチケット販売の独占事業体となっている。もしAppleが表題にあるような「iTunes Concert Ticket」の名称でiTunes Store経由でのチケット販売業に乗り出すのであれば、有力な対抗手段となる可能性がある。
特許に挙げられたサンプルでは、iTunes Concert Ticketの名称が付けられた紙(あるいはプラスチック)のコンサートチケットが登場している。ここにはRFIDタグが埋め込まれており、NFCスキャナに近付けるとチケット情報が読み取れる。これをコンサート会場やスポーツスタジアムの入り口ゲートにかざせば、入場パスとして利用できる。また、NFC対応スキャナを搭載したレジや無人KIOSKなどにかざせば、関連する情報を引き出せたり、レジ精算での割引クーポンとして使えたりなど、さまざまなメリットを享受できる。
RFIDタグの情報は、NFC機能を持つiPhoneやiMacにかざすことでデータを転送し、電子チケット化することも可能だ。この場合、iPhoneには複数のチケットを保管でき、管理が容易になるほか、「紙のチケットを紛失する」といったトラブルから解放される。このとき、電子チケットの内容を確認し、必要に応じてどれを利用するのか指定するのが「Concert Ticket +」の役割となる。
こうした仕組みを汎用化するには、チケットの電子化だけでなく、データを共有できるフレームワークが必要となる。イベント事業者やクーポンを受け付ける商店など、幅広い対応が求められるため、そのあたりをどうクリアするのかが大きな課題になるだろう。