そのTunnel Creekのテクニカルセッションでは、性能面に関しては、まず搭載するグラフィックの3D性能がおよそ50%向上したという数字が示されているほか(Photo27)、Performance Density(消費電力あたりの性能、あるいはBandwidthなど)が10%~50%向上したとしている。細かいところでは、BIOSの改善により、リセット動作から画面表示まで0.5秒未満、という数字が示されている。
Photo29: Embedded Pre-OS Graphics Driverなる用語が目に付くが、これはドライバの一部の機能を、OSロード前に利用する事ができるというもののようだ。この機能を使ってSplash Screen(起動画面)を表示させ、その間に裏でOSをロードさせることで、見た目のOSロードの待ち時間を減らす、という技法と思われる。 |
テクニカルセッションでは更に、VoIPフォン向けの構成(Photo30,31)やECR(Electronic Cash Registers)の応用、更に最近Intelが力を入れているIVI(In-Vehicle Infortaiment)向けの応用例が紹介された(Photo32~34)。
Photo31: MenlowからQueens Bayに変更した場合の効果。GraphicsとかEncode Accelerationといった事はまた別にして、とりあえず実装面積とBOM(Bill of Material:部品原価)の削減には効果的だろう。 |
Photo32: IVI向けのコンポーネントモジュール。このモジュール上にCPUやメモリを初めとする主要コンポーネントを搭載、マザーボード側にI/Oモジュールを搭載する形になる模様。何でCOMExpressなどでは駄目だったのか? は不明。 |
筆者の感想としては、やっとこの手の製品が出たか、という感じである。個人的にはGraphicsやAudioはなくてもいいから、その代わりにPCIバスを積んだモデルがあれば幅広いEmbedded用途に使えそうに思うが、ピン数などの制約からそれは難しいのだろう。気になるのは、100平方mmを超える巨大なダイサイズであること。それでも従来の2チップ構成よりはトータルでコストを抑えられるのだろうが、半分とは言わないまでも80平方mmを切るくらいまでダイサイズをシュリンクさせ、コストを抑えないと爆発的に利用されるという風にはならない様に感じる。性能的にはNetbookに使えるくらいだからもう十分なのであって、後はむしろコストをどこまで下げるかが普及の鍵である。もっともこの考え方は通常のEmbedded向け製品では常識だが、ASPを高く保って利益を稼ぐというIntelの社風にはそぐわないものでもあり、このあたりをどちらに舵取りしてゆくのか、が今後の興味ある部分である。