――現在、Samsungの出荷台数中スマートフォンはどのぐらいの比率を占めていますか?

我々はWindows Mobile、Android、Symbianなどを採用したスマートフォンを複数提供しているのですが、比率は非常に低いです。これはわれわれに限ったことではなく、携帯電話市場全体からみても、フィーチャーフォン(オープンなOSを搭載しない単機能携帯電話)が大部分を占めている状態です。今年はbadaを積極的にプッシュすることで、スマートフォンの出荷台数を2009年比3倍程度拡大したいと考えています。

――これまでSymbianやAndroid搭載機を作成してきたのに、なぜbadaをローンチしたのですか?

badaはもともとSamsungが作成したプロプライエタリなプラットフォームです。Windows Mobileなどは他社のOSなので、ソースコードなど必要な情報がわれわれの手元になく、こちらでサービスを管理できません。これらのOSでは、我々の顧客であるオペレータが好む携帯電話を作成するには限界があると感じていました。badaを発表したのはそのためです。

badaは顧客のために作ったOSです。SamsungはOSベンダーではないので、OSで利益を上げることは考えていません。SDKを公開し、コンテンツプロバイダ(開発者)がこれを利用してアプリケーションをつくり、オペレータは自分たちのアプリケーションストアでアプリを提供できます。エンドユーザーは他社のようにプラットフォームベンダーのアプリストアに行かずとも、オペレータのアプリケーションストアから容易にアプリケーションをダウンロードできます。

――アプリケーションストアの展開について教えてください

アプリケーションストアは、「Samsung Apps」として展開しています。すでに、インド、英国、フランス、イタリア、シンガポールなどでサービスを開始しており、年内に50カ国以上に拡大します。現在は社内で作ったアプリケーションも多いのですが、SDKの公開により、さまざまなものが出てくるだろうと期待しています。

――課金モデルは?

ここは重要な差別化となります。有料アプリケーションの売り上げの70%がコンテンツプロバイダ(開発者)にいく。これは業界の暗黙のルールとなっておりSamsung Appsでも同じです。ですが、残りの30%はOSベンダーである我々だけではなく、オペレータと共有します。オペレータの課金システムに誘導してオペレータ経由で決済した場合はもちろん、顧客がクレジットカードで別に決済した場合もオペレータと売り上げを共有します。われわれとしては、事務手数料や運用コストが回収できればよいと思っています。