カメラとしての基本スペックも悪くない。型番に「X」が入っているとおり、DSC-HX5Vの撮像素子には裏面照射型CMOSの「Exmor R」を採用。センサーを外販しているソニーだけあって、最近は同じセンサーを使ったカメラが増えているが、世代としては同じセンサーのようだ。
有効画素数は1,020万画素、1/2.4型で、画像処理エンジンはBIONZ。レンズは光学10倍のGレンズで、焦点距離は35mm判換算で25~250mm。画素数は今のトレンドとしては少なめだが、ファイルサイズも大きくなくて扱いやすいし、一般的な用途では十分。
Exmor Rに25mmスタートの光学10倍ズームレンズ。これだけでも買う価値がある |
DSC-HX5Vはレンズも大きいし、ボディサイズもそこそこあるので、胸ポケットにすっぽり入れて持ち歩きたいならDSC-TX7がいい |
裏面照射型CMOSは、センサーの受光面を裏返したことで、表面の配線に光が妨げられなくなったことから、従来よりも感度が上がっているというのがポイント。感度が上がると、暗い部分をより明るく撮れて、しかもノイズが少なくなるので、光の少ないシーンなどに力を発揮する。
実際、特に高感度の画質は一見して分かるぐらいきれいで、ほかのコンパクトデジカメとは一線を画している。暗いシーンでの撮影には威力を発揮してくれる。
CMOSセンサーはもともとスピードに優れていて、高速連写がしやすい。この高速連写を生かした「手持ち夜景モード」が特にすごい。
これは、シャッターボタンを1回押すと、6枚を一気に連写して、それを合成してノイズを消し去るという手法で、びっくりするぐらいノイズが少なくて、しかも夜景なのに手持ち撮影もできてしまう。ノイズはちょっと増えるけど、さらに感度を上げてシャッタースピードを稼ぐ「人物ブレ軽減モード」というのもあり、とにかく「夜に強い」カメラなのだ。
もう1つは新機能として、「逆光補正HDR」という機能が追加されている。こちらは2枚の画像を連写して合成するが、1枚は白トビしない露出、もう1枚は黒つぶれしない露出で撮っているので、合成するとダイナミックレンジの広い写真に仕上がる。「HDR」とはいっても、そんなに不自然なほど露出を変えているわけではないので効果は限定的だけど、これが結構役に立つ。
この手持ち夜景や人物ブレ軽減、逆光補正HDRはそれぞれモードダイヤルに割り当てられていて、しかも結構使い勝手のいいモードなのだ。ぜひとも積極的にダイヤルをぐるぐる回して使い込んで欲しい。
おなじみ「スイングパノラマ」機能も楽しい。カメラを構えて、シャッターボタンを押しながら上下左右に動かすと、それだけでパノラマが撮れてしまうという機能。たいていは完璧な仕上がりで、最大で270度という広大な写真が撮れるのだ。
連写して撮った画像をつなげているので、撮っている間に人が動いてしまったりすると、それが変な風につながってしまうのが弱点だったけれど、今回は「顔・動き検出」という機能が付いた。動いている部分を避けて写真を撮るという技で、これまで以上に自然につながるパノラマが撮れる。これ、本当に面白い。出かけるたびに、ついつい撮ってしまう機能だ。で、これもモードダイヤルにあるのでやっぱりぐるぐる回すことになる。