Lynch氏は、Flash技術が廃れる可能性についても言及しており、長い視点でみればHTMLがFlashのその一部の役割に取って代わることになるかもしれないと述べている。それはまず、間もなく登場するHTMLのバージョン5、つまりHTML5で現実となるだろうが、同氏の見解では一方が他方を完全に置き換えるものではなく、予想可能な将来においても起きることはないだろうとしている。
Adobe自身もHTMLを否定しているわけではないが、現時点でWebビデオにおけるFlashのシェアが75%を超えている状況を踏まえて、HTML5でのビデオサポートが即共通フォーマットとして通用するには疑問が残るというものだ。これは恐らく、現状のHTML5で共通のビデオフォーマットが存在せず、ブラウザによってサポートする方式が異なるという現状を指しているとみられる。Lynch氏はこの状況を「ユーザーやクリエイターを暗黒時代に引き戻すもの」と表現している。
確かに、これだけFlash技術が浸透し、多くのページで採用されている以上、これをすべて置き換えるのは容易ではないはずだ。HTML5でのビデオサポートが不完全な現状では、まだFlashの完全な置き換えを主張するのは厳しいかもしれない。既存コンテンツの置き換えが難しいことは、Microsoftがいまだ続くIE6サポートで苦慮している現状からもうかがえる。前述のiPhone系デバイスで利用できなかったり、「重い」という理由からFlashに対して賛否両論はあると思うが、FlashをHTML5で置き換えるという単純な話で済まないのは確かなようだ。