――監督さんによっては、自分の作品にすごく自信持っている方と、いきなりアラが見えてくるという方がいらっしゃいますよね
そうた「完璧を求めている人はそうなるでしょうね。僕の場合は、完璧を求めず、勢いで作ってしまうので、その瞬間はすごく面白いんですよ。でも、後で観てみると、けっこうむちゃくちゃなところが見えてきて……。結局、その"はみ出し"を愛せるかどうかにかかってくるのではないでしょうか」
――そうたさんは、その"はみ出し"を愛せるタイプですか? それとも気になるタイプですか?
そうた「基本的には気になるタイプだったのですが、あるときからはまったく気にならなくなりました。全然いいやみたいな感じで(笑)」
――これが味なんだ、みたいな感じですね
そうた「これがいいんじゃん、みたいな感じですね(笑)。結局、CGの弱点は硬すぎるところなんですよ。完璧でパキパキなところですね。なので、それがちょっとズレていたり、人間的なミスがあればあるほど、CG的な硬さをうまく払拭できたりもするんですよ」
――完璧なはずのCGに人間味が出てくるわけですね
そうた「しょぼかったり、ミスっていたりするのが人間味になってくるのかなって思います。『ファイナルファンタジー』みたいな完璧なCGにみんなの目が慣れてきているので、むしろクオリティの低いものもありなんじゃないかと。そういう意味では、エンジニア以外の人がCGをやってもいい時代になってきたのかもしれません。これまでは本当に最高級のものしかダメだったんですよ。でもこれからは、ミスりまくってナンボだみたいな感じで(笑)」
――やはりCGとなると、ポリゴンやテクスチャの数、クオリティなどを求められることが多いですからね
そうた「そうですね。そこに、しょうもないポリゴン数で、しょうもないレンダリング。そんなヤツがいてもいいじゃん、みたいな(笑)」
――しょうもなくても面白ければいい、みたいな感じですか?
そうた「面白ければいいじゃんっていうノリでもいいのではないかと思います。これからは、そんな時代になっていくんじゃないでしょうかね」
――技術ばかりを追う時代は終わったと?
そうた「実際、技術自体も止まっちゃっているんですよ。1990年代から2000年前半まではすごい技術の進歩があったんですけど、今ではパソコンもCGも来るところまで来ている感じなんですよね。なので、技術追求といっても、みんな慣れちゃっているし、飽きちゃっているので、これからは、今ある材料をどのように料理するかにかかってくると思うんですよ。なので、僕はリアルじゃない方向へ、高級感ではなく駄菓子屋の方向へ、ひたすら突っ走っていきたいですね」