iPad用に設計されたカスタムシリコン「Apple A4」

"バランス"は、iPad全体のキーワードといえる。AppleがA4と名付けた1GHzのカスタムチップを心臓とする動作は非常になめらかだ。紹介ビデオに出てくるが、iPadで表示している写真を向かい側にいる人に見せる場合、上下を気にする必要はない。本体をひっくり返すだけで自動的に写真の向きが変わっている。他にもマルチタッチ、ビデオ再生、Safariのレンダリングなど、あらゆる操作がスムース。このパフォーマンスは確かに"マジカル"と呼べるものだ。A4の詳細は明らかにされていないが、ハードウェア・チームとソフトウェア・チームの密な連携で開発されたという。その結果、なめらかな動作と最長10時間のビデオ再生という効率性を実現した。

iPhone同様、マルチタッチを体験するのは「Photos」が最適。iPadではピンチでスタックの中身を展開できる

ただし、こうした統合的な製品設計を貫くAppleの姿勢は排他的な面もある。これだけスムースに動作するとバックグラウンド・プロセスやFlashを組み込む余力があるように思えるが、Appleにいわせればバランスを崩す要素になるのだろう。

iPad用に作られた「iBook」は魅力的な電子ブック・アプリだ。既存の電子ペーパーを用いた電子ブックリーダーは表示が緩慢で、ページを移るたびに画面のリフレッシュに時間がかかる。メディアプレイヤーとして充分な性能を持つiPadのiBookでは、まさにページをめくるように読み進められる。カラー液晶の表示も美しい。Eペーパーほどの長時間駆動は望めないが、習慣的に充電すれば、読書に不足することはないだろう。これもバランスといえる。

電子ブックリーダー・アプリ「iBook」。横向きでは2ページ表示になり、両手でページをめくれる

Appleの電子ブックストア「iBookstore」。残念ながら展示スペースのデモ機からはアクセスできなかった