今回訪れたクラブメッド・サホロは、北海道の中心部・狩勝高原に位置するクラブメッドアジア地域唯一のスノーリゾートだ。

スキーイン・スキーアウトでホテルからすぐにゲレンデに出られる環境もスキーヤーには嬉しいかぎり

スノートレッキングやスキーなど豊富な冬のアクティビティも用意される(ワカサギ釣り、スノーシューダウンヒルは別料金)

「十勝・帯広エリアには心理的バリアがある方も多いでしょう」と瀬口氏は前置きしたうえで、「ほかのホテルが乱立しているところではなく、ここでだからこそ勝負できることがあるんです」と笑顔をみせる。サホロの魅力はなんといっても、プライベートに近いゲレンデ。周囲には、クラブメッド・サホロを含めて2つのホテルのみという好条件で、リフト待ちで時間を食ってしまうという心配もない。

12歳以上が参加できるスキーレッスンは初心者から上級者までレベルごとに7コース、スノーボードクラスは4コースを設定。レッスン料などもクラブメッドでは必要ないため、滞在中に思い立ったら何度でもレッスンを受講可能。ノンスキーヤーやノンスノーボーダーにとってもチャレンジするハードルはかなり低くなっている。

クラブメッド・サホロは、オープン20周年を迎えた2007年にリニューアル。デラックスルームやシアター、ブティックの改装のほか、スパを新設するなど館内施設を充実させた

しかし例え充実したスキー環境が用意されていたとしても、子連れ旅行の場合、大人はあまり自分の時間を楽しめないということが多々ある。その問題をクリアするのが、クラブメッドが1967年より導入したチャイルドケアサービスだ。そして、これがファミリー層に好評のポイントでもある。

日本や北海道の文化も織り込まれているという客室。中でも、スーペリアトリプルはフランス人デザイナー、デルフィン・レオン氏が手がけている

クラブメッド・サホロには、2~3歳の赤ちゃんを預かる「プティクラブ」(有料)と、4~13歳を対象とした「ミニクラブ」、11~17歳を対象とした「ジュニアクラブ」が用意されるほか、夜中にバーでちょっと楽しみたいパパ・ママ向けに「パジャマクラブ」(2~8歳対象/有料)も用意される。このほか、2歳未満の子どもたちのために、ベビーベッドやベビーカー、ベビーフードを用意するサービスもある(0~2歳は滞在費無料)。

インターナショナルスクールのような「ミニクラブ」。ここでできた友だちと離れがたくなり泣き出す子どもも多いという

クラブメッドのキッズクラブでは時間ごとにさまざまなプログラムが用意されたり、一緒に遊ぶメンバーが多国籍だったりと、子どもにとって刺激的な環境が揃っている。子どもを預けて"大人の時間を楽しみたい"という利用者もいるが、子どもたちの思い出づくり、という点に価値を見出す人も少なくないという。

価格競争には参入しない

ただ、この不況下、旅行者数の減少・格安旅行ツアー人気などが続く中、リゾート感を全面的に押し出した「オールインクルーシブ」という戦略は功を奏すのだろうか。

食事は北海道ならではの食材を使用したビュッフェスタイル。「日本人のお客様は舌が肥えているので、努力していますよ」と瀬口氏

「2009年GW以降は新型インフルエンザの影響を受け、若干ダウンした月もありますが、年末年始は有難いことに2009年度も稼働率100%です。価格に見合う価値があれば、不況でもお客様はお金を出すと確信しています」

直前での予約が増えている影響もあり、ウィンターシーズンを通しては例年より1割~2割減というが、クラブメッドを支えているのは「リピーター数」の多さ。それは、このリゾート施設を一度体験した人が「また来たい!」と思わせるサービスが揃っている証拠といえるかもしれない。

「日本も成熟してきて外面的な贅沢よりも、内面的な満足感が重視される時代になっています。それこそ、クラブメッドが得意とするサービスだと思っています」。2012年頃には、北海道に新たなリゾート村をつくる計画もあるという。「クラブメッド・サホロと補完的な役割を担う施設にしたい」という新リゾートの立地はすでに確定済みで着々とオープンへの準備は進んでいるようだ。

夏には、ゴルフ、いちご狩り、搾乳体験、チーズづくり、ハイキングなど北海道の大自然を感じられるアクティビティが楽しめる(有料)。旭山動物園へのオプショナルツアーも人気なようだ

新施設の展開も気になるところだが、60周年を記念してクラブメッドの各施設では期間限定キャンペーンを現在実施中。タイ・プーケットまでの航空券が「60円」というお得なプランや、「3人目無料」キャンペーンの実施など話題は尽きない。価格競争に参入するのではなく、「日本の方にもっとバカンスを体験していただきたくて」と瀬口氏。

「日本の方は旅行というと、いろんなことをしなければいけない、という脅迫観念のようなものをもたれている場合が多いですよね。例えば、本を2~3冊だけ持って1~2週間の長期休暇に出かける、そういった時間の過ごし方をすることが今の時代にマッチしていると思いますよ」。"日常から解き放たれた旅"を夢見るならば、バカンス企業のパイオニアを自任するクラブメッドが提供する"リゾート"に足を運んでみるのはいかがだろうか。