クラブメッド上席副社長 兼 営業・マーケティング統括本部長 瀬口盛正氏。英語、日本語のみならず、フランス語、スペイン語も操るが、「フランス語はずっと聴いていると疲れてしまう」なんて弱味も、屈託なく話す。この距離感。それが、クラブメッドで働くG.Oと私たちG.M(宿泊客)の近さによく似ていると感じた

クラブメッドでは、2004年に「アップマーケット」「フレンドリー」「マルチカルチュアル」というニューコンセプトを打ち出すと同時に、マレーシア・チェラティンビーチをはじめとする世界各地のクラブメッド施設のアップグレード化を図った。

ニューコンセプトである、「フレンドリー」を具現化するのが、先述の「G.O」の存在。約2万人(約100カ国の国籍、30カ国語の言語)のG.Oが、世界中の施設を流動的に異動して働いているというから驚きだ。

G.Oたちは、一体いつ休んでいるのだろうか? という疑問がわくぐらいよく働く。朝はメインダイニングの前で「おはようございます!」と笑顔で出迎え、昼には子ども向けサービス「ミニクラブ」で子どもたちの面倒をみ、夜にはエンターテインメントショーで、サーカス(!)に出演していたりとその多才ぶりは特筆すべきところでもあるだろう。

「ニューラグジュアリー」というポジションを打ち出したクラブメッド

「クラブメッドでは、マルチタスク制度をとっています。約90種類の職種から1人が4~8つを受け持っているのです。夜のショーへは、基本的に全員参加ですね。マジックショーやサーカスだったり、お客様を楽しませるために『やりたい!』と思ったことは全部やってしまう気風があるんです」

お客様が何を求めているのかを事前に察知するのがG.Oの役割。だが、「それだけでは他のホテルも同じです。私たちが目指しているのは、"継続性のあるサービス"。平均4泊という滞在期間の全てで、お客様の思い出づくりに関わりたいと願っているのです」。

アップスケール計画を2004年よりスタートし、それまでの約130エリアから80エリアにリゾートを絞った。施設のリニューアルも行われ、バリには大人専用のプールや屋外バーも設置された

滞在型のリゾートだからこそ、スタッフが思い出を一緒につくり、シェアすることもできる。「サービスを"点"ではなく"線"で提供し、楽しみをシェアすることによって、さらにその楽しみが増していくと思うんです」と瀬口氏。"自己完結の旅"ではなく、外と交流することで広がる"バカンス"があるのだ。

……家族連れに選ばれる「チャイルドケア」システムを実践