監督からの要望
――キャラクターデザインという点で、監督からの要望は何かありましたか?
渡辺氏「特にはなかったですよね」
高本監督「実際に僕がお願いするのは、現場で使うときのことを考えた仕様なんですよ。たとえば、目に関しては細かくピックアップしてほしいとか、本当に現場サイドがどう使うかという話で、絵柄についてどうこうということはなく、『わかりやすく大きめに書いてください』っていうぐらいですね」
――現場が使いやすいキャラクターデザインということですね
高本監督「そうですね。現場の人間は、みんなが渡辺さんではありませんから(笑)。なるべく使いやすいデザインをお願いするといった程度です」
――シナリオについての要望などはありましたか?
高本監督「シナリオについても、細かいところは基本的にお任せですね。僕がお願いするのは、『これとこれをやりたいので、間をなんとかしてください』っていうぐらいです(笑)」
待田氏「それは全然無理な話ではなくて、逆にそのように言っていただくほうがいいんです。ゲームでは当然、登場人物が画面の中で自由に動き回らないですし、長い台詞が多いので、当初から、シナリオが会話劇に陥りやすくなってしまうから注意が必要と思っていて……。だから逆に、アニメ的な演出表現を監督からいろいろと提案していただくことが、本作りにすごく活きているので、とてもありがたかったです」
高本監督「いや、でもムチャ振りですよ。急に二人で空を飛んでみたらどうですか、みたいなことを言っちゃうんですから(笑)。何で飛んでいるのかは、僕にもわからないんだけど、まあ月をバックに飛んでみたらいいじゃないですか、みたいな。演出は絵を作るのが仕事ですから、空を飛んでいてもらったほうが絵が持つんですよ(笑)。だから、細かいことはいいので飛んでくださいって……。ムチャ振りですよね」
待田氏「ムチャ振り……私、基本的に好きなので、それをどうすればいいかなって考えるのは楽しかったです……はい、心から(笑)。とにかく監督のお話がおもしろくて……。今までの経験から言って、結構、作品のテーマが暗かったりすると、それは打ち合わせにも如実に表れて、暗い雰囲気になったりするんですが、今回はホラーなのに、何故か本読みでは、爆笑しつつ、それでも、しっかり怖いお話を作っていくという、不思議な感じでしたね(笑)」
高本監督「この作品であるなしに関わらず、演出として観たい絵があるんですよ!」
待田氏「そのあたりは、アニメならではのスケール感になっていると思います。ゲームとは違ったものが、お届けできるんじゃないかな……と」