ゲーム原作をアニメにする苦労

――原作ゲームの複雑なストーリーをアニメとして構成し直す際の苦労はどういったところにありますか?

高本監督「もちろん、事前にこれをテーマにしてほしいというオファーがあるので、そこに沿って作業を進めていくわけですが、それにしてもやはり不思議な展開になっていくので、それをいかに面白くみせるかというのがアニメを作るときの課題になりますね。作品にすごく幅があるので、作り方によって印象がまったく変わってくるわけですよ。しかも、そこにPEACH-PIT先生の絵まで入ってくる。こんな組み合わせも初めてなんですよね。PEACH-PIT先生は、萌えキャラというジャンルでのかわいさではトップにいるような方なので、それをどう掛け合わせたらいいかというところも考えなければならないところでした」

――そのあたりをいかにアニメとしてみせていくかというところですね

高本監督「渡辺さんには、絵のかわいらしさをより際立たせてもらうしかないので、PEACH-PIT先生の絵をアニメ向けにさらに洗練していただくわけですよ」

渡辺氏「今回はなるべく、元のイメージをそのまま壊さないようにと思って作っているので、ほとんどゲームの絵を、アニメとして動かせるようにデザインし直している感じですね。衣装も制服だったり、普通の服だったりなので、アニメのキャラクターとして描き起こすのはそれほど難しくはなかったです」

――それでは、ゲームのストーリーをシナリオに起こすところでの苦労はありましたか?

待田氏「原作のゲームは、すごくたくさんのルートがあって、いろいろな終わり方をするんですよ。キャラクターのシチュエーションや関係性も微妙に違ってまして……。ざっくりと言えば、アニメはなるべくゲームの王道を通るようにしつつも、各ルートのキャッチーな部分を織り交ぜていく……そんな感じですかねぇ」

高本監督「このルートを通っていますよというのがわかってしまうのも面白くないじゃないですか。やはり、観ている人に、『あ、このルートに入ったな』っていうのがはっきりとわからないようにしないといけないと思うので、技術的にはそのあたりが難しいのではないかと思います」

――原作をやった人も、やっていない人も楽しめるという感じですね

高本監督「ゲームをやった人が、『あ、ここでこっちの分岐にいった』というのがわかってしまうのもどうかと思うので、けっこうオリジナルの部分も入れたりしています」

待田氏「オリジナルといっても、キャラクターや設定を大きく変更するわけではなく、あくまでもお話をつなげることを優先したつもりです。それよりも、アニメは1クールの作品なので、1クールでちゃんと話が終結できるようにするほうが大変でした。ゲームにはおもしろいところが、いっぱいありすぎて……」

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