電池が要らないリモコン
NECエレクトロニクスのブースでは、発表されたばかりのリモコンのボタンを指で押すときに発生する振動の力で発電する「振動力発電」技術と独自開発した電源制御技術の組み合わせにより、電池レスで駆動する家電用リモコンなどを展示していた。
実際に同リモコンの試作機がデモ展示されているので、触ってみたが、意外に厚みがあり重かった。まだ、試作の段階なので、実用に向かないのは仕方がないといったところ。
電池が不要なので、どうやってデバイスを駆動する電力を維持しているかというと、キャパシタを活用して、ボタンを押した時の振動を瞬間的に貯めることで、RF内蔵マイコンを駆動させるという。
まだ振動から発電する能力が低いとのことで、強くボタンを押すか、何回かボタンを押さないと反応してくれないこともあったが、反応自体はきっちりとしており、音量の上下やチャンネルの切り替えなどが行えた。
第3世代1枚超解像LSIもデモ展示
また、開催初日の11月18日に発表され、同社としては第3世代となる1枚超解像LSI「μPD9281GC」のデモも行われていた。
第3世代品となって、何が従来品と変わったかというと、まずプロセスが90nmへと微細化された。これにより、電源電圧がロジック部で従来の1.5V±0.15Vから1.0V±0.1Vへと低減された。また、インタフェースとしてLVDSに対応。これにより、FPDなどにも柔軟に対応することが可能となった。
さらに、3つの新機能が追加された。1つ目は「ノイズ抑制機能」で、2次元画像を伸長した際に発生するモスキートノイズを、超解像をかける前に処理することで、軽減することが可能になるというもの。これにより、よりくっきりとした画像の表示が可能となる。
2つ目は、「シュート抑制機能」で、これまでの超解像画像では、全体がくっきりとしてしまい、例えば前と後ろに物が置かれた状態でも同じようにくっきりと映っていた。これを画素ごとに超解像処理による画素値の変化量を算出し、その変化量に応じて超解像処理量を非線形特性に変換し調整することで、後ろの画像と前の画像のくっきり感を分けることが可能となる。
3つ目は「矩形領域指定機能」で、最大3カ所まで、画面上を指定して超解像をかけることが可能となる。これにより、例えば左にデータ放送、右に映像といった状態で、右の映像にだけ超解像をかけることが可能になる。
なお、同製品は2010年2月からの量産開始を予定している。
このほか、同社のブースでは、USB 3.0のホストコントローラLSIやIMAPCAR2を活用したゼットエムピー(ZMP)のカーロボティクスプラットフォーム「RoboCar」、カーナビゲーションなどに向けた「EMMA Car」などのデモも行われている。EMMA Carは現在、次世代製品「EC-43XX」(開発コード)の開発が進められており、CPUコアはARM Cortex-A9 MPCoreに変更される予定で、2010年後半には発表される見通しとなっている。