ソフトウェア関連でキラリと光る製品をピックアップ!
プレイステーション 3で使用されているプロセッサ「CELL」を採用した東芝の「CELL REGZA(セル・レグザ)」を筆頭に、デジタル家電や携帯電話といった分野で大いに賑わいを見せたCEATEC JAPAN 2009。昨年と比較すると、ややソフトウェア関連やコンテンツサービス関連の出展者は少なかったものの、"小粒なれどキラリと光る"製品やサービスが発表されていた。ここでは、それら珠玉の製品&サービスを紹介していこう。
注目を集めていたNiCTブース
来場者の多くが足を運んでいたのがNiCT、情報通信研究機構のブースだ。毎年興味深い取り組みを発表しており、筆者も必ず立ち寄るスポットのひとつ。2009年の展示で注目したいのが、画面も色鮮やかな「nicter」。ネットワーク攻撃を可視化するとともに、マクロ・ミクロ解析システムによってインシデント、つまりセキュリティ事故への対策を講じることが可能なシステムだ。
一般のユーザーが考えるセキュリティ対策は「ウイルスバスター」や「ノートン」のようなウイルス駆除や感染への防止といったベクトルの製品だと思うが、この「nicter」はネットワーク上の観測点(デモンストレーションでは未使用のIPアドレス)に届くパケットの送信元や、UDP・TCP・ICMPといった各ポートへのアクションを三次元表示し、攻撃の俯瞰的な傾向とともに特徴的なリアルタイムでの攻撃の把握が可能になる。可視化によって「これほどまでに日本は攻撃を受けているのか!」と思わされたほど、ポートスキャンや多種多様な攻撃パターンを垣間見ることができるプロダクトだった。
画面左は世界のどこからアクセスがあったのかを、画面右上部は国旗が表示されているが表示切り替えによって攻撃パターンの分類を、画面右下は観測点に届くパケットの送信元宛先IPアドレスとポート番号をもとに三次元表示したもの |
次は、次世代光相関技術を用いた超高速画像情報検索技術を利用した高速高精度相関アルゴリズムを利用した動画識別システム「FReCs」。とても小難しい前置きが付いてはいるが簡単にその機能を紐解くと、放送事業者や映画配給会社などのコンテンツホルダーが自社の映像がネット上に無断で流出していないかを調査できるシステム、とでも呼べば良いだろうか。
アップロードした画像に似た画像をインターネット上からピックアップしてくる検索エンジンのシステムは知っていたが、"動画"を対象にしたものは初めてお目にかかった。今後ホームビデオなどがごく一般的にインターネット上で公開、共有する時代が訪れるかもしれないと考えると、放送事業者や映画配給会社はもちろん、我々一般のユーザーにもニーズが眠っていそうなサービスと言えるだろう。
ブースは小粒ながらも「人材育成型統合グループウェア」というキャッチコピーで目を見張ったのがメディア・ファイブの「則天」だ。グループウェアの機能を根幹としながらプロジェクトマネジメント、営業支援、管理会計、人材育成、ナレッジマネジメントといった全方位をカバーしたソフトウェアとなっており、Flashで制作されているのでWebブラウザ上ですべてが完結するという優れもの。
もともと人材育成を主眼としたコンテンツを制作していた同社のノウハウが詰め込まれたeラーニングコンテンツは秀逸。ひとつだけ要望を言えば、「業務の"カイゼン"を利用者自身で考えることができる機能が盛りだくさん」と説明を受けたが、昨今はその改善策を自分自身で考えられない向きの方も多い。そこで、"カイゼン"に取り組むためのステップをeラーニング化して欲しい。