――ニコニコ動画にアップされた実況動画には、収容者のお世話をする「介護ゲー」という視聴者の書き込みもありました

「うん。『たまごっち』は介護ゲーって言われないのにね。じつは『ディシプリン』のゲームとしての構造は『たまごっち』と同じなんですよ。対象が違うと介護になり、ペットのお世話にもなるという面白さ」

――こっちは全然母性本能をくすぐらない(笑)

「ねえ? だからポストペットを作った八谷和彦さんにも遊んでもらったんですけど『自分だったら最初にお世話するキャラは(ポストペットの)モモちゃんみたいなかわいいキャラにする』って言ってましたね。その発想は僕にはなかった!(笑) 最初は誰もがお世話したがる赤ちゃん的なものにしたほうが、あとでキモいキャラが出てきても、すんなり受け入れられるというね」

しばらく過ごすと収容者の「ショクジ」メーターが危険域に突入! 監守の目を盗んでyouコンにyou液をチャージせよ!

you液を溜めて、牢屋の様々な場所に向けて発射! つまり『ディシプリン』はシューティングゲーム……でもある

するとギミックが発動し、ささやかな食事が出現。収容者のストレスを解消し、彼らの心の壁を崩していくべし

心の壁が崩れると、収容者は新たな言葉を紡ぎ出す。すべての心の壁が崩れた後、語られるのはいったいどんな言葉なのか……?

――ほかに視聴者からは「作業ゲー」との意見もありましたが、こちらはいかがですか?

「みなさん作業ゲーと罵倒しますが、それはあんまり罵倒になってない。そりゃ作業ゲーですよ」

――(笑)。「あらゆるゲームは作業だ」みたいな?

「そうそう(笑)」

――個人的には主観視点で狙って撃つとか、3回見つかったらアウトとか、意外にゲームっぽさが残っている印象でした

「ゲームっぽさはね、ちゃんと残したつもりです。やっぱりノベルゲームと違う点は、ページをめくる以外の行為があることで、対象への興味がもっと深くなると思うんですよ。お世話をするから、自然と感情移入して、なんとなく目の前の相手の話を聞いちゃう。それは事件の報道だけを切り取ったようなざらっとした感じではなくて、共感とも理解とも違うんだけど、ただ目の前に事件の当事者がいるという変な気持ちですよね。そういう感覚があって、もしかしたらテレビゲームが現実の問題を扱うことで、報道とは違う役割を持ち得る可能性があるんじゃないかとは思いましたね。まあ、お世話する対象をかわいい女の子にしてたらもっとよかったのかもしれない(笑)」

――では逆にゲームっぽくしなかった部分は?

こちらがyouコン(実物)。「企画段階のときにWiiのリモコンジャケットが配布されたんですよ。それをかぶせて、面白いものに変わるんだなと思って。つまり俺のほしいリモコンジャケット(笑)」(飯田)

「例えば収容者が解放されたあとかな。そこはファンファーレが鳴ってすぐ次のステージに進めるようにしてもよかったんだけど、そうしなかったんですよ。その日の終わりまで、ひとりだけの時間が流れる。もともと主人公が収容者たちを解放する行為が何なのかも謎なんですけどね。死刑を執行したとも思えるし、懺悔を聞いて昇天させてあげたとも思える。たださっきまで話をしてた人がいなくなって、そうなるとやっぱりさびしい気もする。そこはあんまりゲームっぽくないですよね」

youコンの使用が監守に3回見つかると問答無用で「おひとりさま」と呼ばれる部屋へ……! このあとプレイヤーはつらいペナルティを受けるはめに

「おひとりさま」の部屋で「マッサージしてくれ」としゃべり出すyouコン。そしてプレイヤーはyouコンのツボ(=Wiiコントローラーのボタン)をもみほぐすことを強いられる……


(次ページへ続く)