シンプルだからこそ素材にこだわりを

ロッテリア商品本部部長・長元恒さん

個性的な商品内容、インパクトのある売り方でファストフード業界において精彩を放っているロッテリア。ここからは、これらヒット商品の開発経緯や人気の秘訣について、ロッテリア商品本部部長・長元恒さんにお話をうかがっていく。

――まず、絶品チーズバーガーの生い立ちを教えてください。

絶品チーズバーガーは2007年11月に販売スタートしましたが、その約9カ月前に社内に開発チームを立ち上げました。ハンバーガーづくりの原点に立ち戻り、新しい王道ハンバーガーとして絶品チーズバーガーを開発しました。各メンバーの想いが強く、時には議論が白熱しすぎるようなこともありましたが、何度も試作を重ねてようやく商品化にこぎつけた商品です。

――改めて、商品の魅力を教えてください。

アメリカの昔ながらのカフェやダイナーにあるような、チーズがトロリととけて少し流れ出ているハンバーガーが原型です。日本のファストフード店にはない新しさを求め、チーズにはファストフード業界で初めて厳選した2種のナチュラルチーズを使いました。香りとコクのあるグリュイエールチーズと、チーズ感の豊かなレッドチェダーチーズをブレンドし、チーズ本来の風味を強調しました。

絶品チーズバーガーの原型となったアメリカのハンバーガー

チーズがちょうどいい具合にとろけるためには、調理工程で特別な"チーズを蒸す"作業が大切になってきます。各店の店長には「料理人になれ! 」と指示を入れ、調理のトレーニングや研修も実施しました。

――チーズの他は、バンズとパティのみ。材料はとてもシンプルですね。

余計な演出でごまかすことは一切しませんでした。バンズには通常のバンズでは使われない上質な一等粉や酒種を使いました。手間のかかる"手まるめ"風工程を採用し、発酵にもこだわって、日本人が食べ慣れているソフトな味わいに仕上げました。

ミートパティは、フランス料理のタルタル・ド・ブッフ(牛肉のタルタル)と、パテ・ド・カンパーニュ(豚の田舎風パテ)をミックスした発想から生まれました。結果、肉の種類や部位、挽き方にも徹底的にこだわり、牛のモモ肉と肩肉、豚の背脂をベストなバランスでミックスする方法で落ち着きました。素材の味を堪能していただくため、塩と粗挽きブラックペッパー、オレガノのみのシンプルな調味にしています。

――こういった工夫やこだわりの結果、ヒット商品が生まれたというわけですね。

絶品チーズバーガーは販促やキャンペーンをほとんど行っていないにもかかわらず、絶品チーズバーガー単品だけで、店舗売上の約20%も占めています。おかげさまで、当社の主力商品に成長しました。