――それでは楽曲についてお伺いします。『にゃんこい!』のEDテーマになっている「Strawberry ~甘く切ない涙~」はどういった楽曲になっていますか?
「私にはない"恋心"を歌った歌です。……ああ、残念(笑)。幸せを詰め込んだような感じなのですが、決して押し付けがましい幸せではなく、ほんのりと感じられる幸せを歌っているので、自分としても聴きやすい歌ですね。あまりインパクトの強い曲ではなく、聴いただけでカミナリが落ちたような衝撃を受ける歌ではないので、そういう意味では、一体どんな風にとらえられるんだろうって思ったりもしたのですが、私としては、何度も聴くのに適している曲だと思っています。聴いているうちに情景が自分の中でみるみる描かれていく感じがするので、ひょっとしたら聴いてくださる方も同じような感覚を抱いてくれるのではないかと思って期待しています。歌詞はとても女の子らしくて、愛らしくて、かわいらしい感じですね」
――ちなみにタイトルについてはどういった印象をお持ちですか?
「……恥ずかしいです。私はこういうのが本当にめっちゃ恥ずかしいんですよ。最初に『Strawberry』だよって言われたときの、あの瞬間の私の顔を皆さんにお見せしたいぐらいですね(笑)。この曲はきっと私にとっての代表作の一つになるだろうなっていう予感があったので、どんな曲を歌っているんですかって聞かれたときに、『Strawberryです』って言うのかと思ったら本当に恥ずかしくて……。私のことをあまり知らない人が聞いたら、きっとメルヘンな女の子なんだと思われるかもって考えただけで、もう赤面して、テレちゃいますよね(笑)。でも、このタイトルよりももっと恥ずかしいことがあったんですよ」
――もっと恥ずかしいこと?
「CDには帯がついているじゃないですか。あの色が"ピンク"なんですよ。『ピンク!』って思っただけで、またボワってなっちゃって……。ピンクは好きな色なんですけど、『ピンクなんだ、帯』って思ったら、もう動揺しちゃって(笑)。さらに帯にはキャッチコピーとして『覚えてますか? 初めての恋…』って大きく書いてあって……。それを見た瞬間、『覚えてません!』て(笑)。本当にチョー恥ずかしくて、どうしようって思っちゃいましたね。きっとこのキャッチコピーを見た初対面の方からインタビューを受けたら、『今井さんは、学生時代にどんな恋をしていたんですか?』とかって絶対に聞かれる! って思って。『やばい、かわいいエピソード0』とか思って、ちょっと挙動不審になっちゃいました(笑)」
――タイトルはさておき、実際に歌ってみた感想はいかがでしたか?
「本当に今回は気負わずに収録ができたんですよ。とっても楽しくて、ずっとニコニコしていましたね。最初にブースに入って、じゃあ今から歌いまーすというところから、お疲れ様でしたまで、すっごく楽しくて、ルンルン気分で歌えました。アニメのエンディングだから、ちゃんと歌わなくちゃって、肩に力が入ってしまう可能性もゼロではなかったのですが、本当に楽しく収録ができたので、この曲の世界を私なりに良い方向に持っていけるような歌い方ができたのではないかと思っています。特にこの曲は、とても客観的に見られるんですよ。自分が歌っているんだけど、自分ではない感覚で聴けるんですね。これは私にとってみれば、本当にすごいことなんですよ。聴いているだけで自然とニコニコしてきちゃうというところは、楽曲のすばらしさももちろんですが、自分の気持ちとこの曲がいい具合にシンクロした結果なんだなって思いました」
――こういうタイプの曲をこれまでに歌った経験は?
「もちろんゼロでは全然ないのですが、これまでに私がいろいろなところで歌ってきた楽曲の中では、さほど多くはなかったと思います。なので、こういうイメージは私の中にもなかったですし、聴いてくださる方にとっても、今井さんといえば的な楽曲ではないと思うので、すごく新鮮な感じがするかもしれませんね」
――今井さんのイメージとはちがう曲ということですね
「そうですね。ただ私の本質は、実はこういう感じなんだと思います。特に田舎に住んでいたころは、家に帰ってきたらとりあえずランドセルを置いて、山の中を走り回って、風を感じたり、空を見たり、雲を見たり、土の匂いをかいだり、といった生活をしていたので、私の本当のルーツは、実はこちらではないかと思っています」
――小さいころに歌っていた歌はこういう感じのものが多かったですか?
「私、『ハウス食品シリーズ』がとても好きだったんですよ。じんわりと心を温かくするような曲がすごく好きだったので、子どものころの私を知っている人にとってみれば、このイメージのほうがとても私らしいって思われるような気がします」
――「Strawberry」の聴きどころはどういったところだと思いますか?
「ここの歌詞とか、このメロディというのではなく、この曲の一番の魅力は、一曲を通しての安心感だったり、伝わってくる優しい気持ちだったり、切ない気持ちを持ちながらも幸せだなって感じたりする空気感だと思うんですよ。なので、その空気感がどうやったら伝えられるかなってずっと考えていたのですが、できあがったあとにこの曲の聴き方はきっとこういう聴き方なんだなって思ったのは、本当に何気ない日常の中で、本当に何気なく、何かほかのことを考えながら聴いてもらうのが、すごく合っているのではないかと思います。聴いていると少しずつ気持ちがほくほくしてくるんですよね。気持ちがちょっと疲れているときとか、後ろ向きになっているときって、ネガティブな思考になりがちじゃないですか。そんなときでも、この曲を聴いていると、そういう気持ちにはならないんですよ。なので、今からこの曲を聴きます! といった聴き方ではなく、何となく生活の一部にしてもらって、ちょっと落ち込むことも生きていればあると思うのですが、そんなときにさりげなく再生していただくと、いい方向に気持ちが向くのではないかと思ったりしていますので、そういった聴き方をしてほしいですね」