新世代GPU「FERMI」は30億トランジスタの大規模チップ
FERMIは30億個のトランジスタを超える巨大なGPUで、DirectX 11世代のGeForceのベースにもなることがほぼ間違いないGPUだ。
開発コードネームの「FERMI」は、イタリア生まれのノーベル物理学賞物理学者FERMIから頂戴した物で、実はTESLAの名称も実在する物理学者から頂戴したものだったことから、CUDA向けGPUはTESLAブランドからFERMIブランドに変更されるのではないか、という憶測があった。しかし、ファン氏はこれを否定し、TESLAブランドは継続され、製品は「FERMIベースのTESLA」として投入がなされるとのこと。
なお、FERMIに内包される汎用シェーダユニットであるStreaming Processorの数は512基で、先代のシングルGPUのハイエンドモデル「GeForce GTX 280系」の240基の2倍以上に増加されている。
先代のGT200ベースコアのTESLAで指摘された倍精度64ビット浮動小数点(FP64)の演算性能の落ち込みは、FREMIでは解決されている。具体的にはFERMI内のF64演算器はカットされ、必要に応じてFP32ベースのSPが2クロック掛けて演算する実装になっている。つまり、FP32パフォーマンスの半分がFP64のピークパフォーマンスということになる。プロフェッショナル用途のシミュレーションの実装にはFP64活用が主体の現場も多く、このFP64パフォーマンスの向上は、シミュレーション業界ではかなりの歓迎ムードで迎えられている。
また、メモリシステムにはエラー訂正機構のECC(Error Checking and Correcting)システムを搭載。大規模なGPGPUクラスタを変成したときに、電磁波などによって低確率ながらトランジスタ内の電圧変化が起き、記録されているビット情報の反転が起こりうる。これを訂正する機構がECCとなる。メモリインタフェースのビット幅は384ビット。
今回の基調講演では、ファン氏は「GeForceとして求められるものは全て提供する。ただ、今回はそれ以上のことはいえない」と、FERMIベースのGeForceについては沈黙を守った。