壇上にバーチャルCTO、ライブ3Dキャプチャを実演
Kim氏に続いて、IDF Fall 2009最後のキーノートスピーカーとしてCTOのJustin Rattner氏が登壇した。IDFのキーノートのトリと同氏が務めるのは例年通りだが、今年はIDF全体のテーマに沿ったR&D部門の最新の活動紹介ではない。「テレビジョンの未来」というタイトルで、同氏も研究・開発分野からテレビを取り上げた。最終日はテレビ一色。IntelアーキテクチャをPC以外の分野に、特にデジタルホームへと広げようとするIntelの本気度の高さが伝わってくる構成だ。
テレビは視聴者それぞれの興味を満たす情報源であり、視聴者の生活や友だち関係などが反映されるべきエンターテインメントであるとRattner氏。こうしたIntelのテレビに対する考えに沿ったR&D分野のいくつかのデモが披露された。
Intel Labs ChinaのシニアスタッフリサーチャーYimin Zhang氏は、ビデオをスキャンし、映っている人や、そのアクティビティを判別してインデックス化するプログラムを見せた。これによりビデオの内容を細かく検索できるようになる。たとえばサッカーの試合をスキャンしたビデオには、選手や審判、ボール、ゴールなどが分類され、ドリブルやゴールといったアクションごとにタグが付く。ユーザーは特定の選手の活躍やシュートのみなど、目的のシーンだけを簡単に抜き出せる。
シニアリサーチサイエンティストのMark Yarvis氏は、MIDと連係したテレビ視聴のパーソナル化を実演した。ユーザーが持ち歩くMIDには、使うほどにユーザーの個性が記録される。Rattner氏が自分のMIDを持ってテレビのセットトップボックス(STB)に近づくと、STBがRattner氏であると判別。MID内の履歴や利用動向をベースに、テレビ画面上にRattner氏向けにカスタマイズした番組のおすすめや広告が現れた。
パーソナル化されたコンテンツ、インテリジェントな管理機能は視聴者をサービスに呼び込むが、視聴者を没入させるのはコンテンツそのもののエンターテインメント性だ。講演では最後に3ality Digitalによるライブ3Dキャプチャのデモが行われた。専用のめがねが必要なので、残念ながら写真には、そのリアルな立体映像が写らないが、3ality CTOのHoward Postley氏が映る3Dディスプレイの横にRattner氏が並んだ姿は、まるで2人が壇上に立っているようだった。
3alityの2台のカメラは、それぞれの出力が3Gb/s。加えてメタデータ用に5Gb/sの帯域幅が必要だという。2台のカメラからは数十本のケーブルの束が伸びており、ケーブルの処理がライブ3D放送の課題の1つであると話した。そこでRattner氏は、前日に開発を明らかにした高速オプティカルI/O技術「Light Peak」を用いたソリューションを提案した。デモに使われたLight Peakインターフェイスはホットプラグに対応する。同技術は現時点で10Gビット/秒のデータ伝送速度を実現しており、デモでは細い1本のケーブルを使って一方向で8Gb/sのHDビデオをストリーミングしながら、もう一方向で2GBのファイルを転送して見せた。