側面には大きなボタンが搭載されており、基本的に、ここだけで音楽に関わる全ての操作が完結する。メディアプレイヤーの起動から、再生・停止、早送り・巻き戻しなどまで可能で、ボタンが大きく鞄の中に入れたまま手探りで押せそうだ。

イヤホンで聴けば音質も上々だが、残念ながらイコライザなどの設定は非搭載。音響にこだわるユーザーには不満が残るかもしれない。当然、その分インタフェースはシンプルになるので、エントリー層向きと言える。また、スピーカーは背面のロゴの下にさり気なく配置されている。音は比較的大きく聞こえるので、部屋などでBGMを流す際にも使えるはずだ。

スタンダードなプレイヤーでイコライザなどには非対応

スピーカーはデザインを損なわないよう背面のロゴの下に隠されている

足りない機能に対する割り切りは必要

元々"デザインやブランドで選ぶケータイ"のため、足りない機能を挙げていくのは少々不公平だが、2009年9月に発売されるモデルだと考えると力不足な感は否めない。ディスプレイは有機ELで発色はいいが、サイズは2.2インチで、3.0インチオーバーが主流の今では小さく感じる。240×320ドットという解像度は、フルブラウザなどを利用する際の足かせとなるだろう。Flash Liteには対応していないし、おサイフケータイやワンセグ、GPSも非搭載だ。

Yahoo!ケータイのトップページも非Flash版になる

カメラは、UIこそデジカメライクになっているものの、300万画素CMOSセンサと一般的な性能。薄型のボディは魅力的だが、逆にボタンが押しづらい。テンキーの区切りがほとんどなく、押し間違えも多かった。クリアキーが「Y!ボタン」の下にある配列は、特殊なため慣れるのに時間がかかる。キー操作のロックはセンターボタンの長押しだけで、手軽さに欠ける印象だ。

スペックは普通だがUIはまるでデジカメのようだ

このような端末の特性を考えると、830SCはケータイに多くを求めないユーザーに向いている。通話をメインとした2台目需要にも、応えられるだろう。ただ、持ったときのインパクトは十分。端末、コンテンツ、アクセサリーと、統一された世界観も魅力だ。EMPORIO ARMANIの熱烈なファンにとっては、機能不足など些細な問題でしかないだろう。インスピレーションで選ぶ――それが、このケータイの正しい買い方なのかもしれない。

主な仕様
通信方式 国内 W-CDMA方式
海外 W-CDMA方式、GSM方式(900/1,800/1,900MHz)
サイズ 約47.4×114.9×12mm(突起部除く)
重さ 約91g
連続通話時間/待受時間 W-CDMA網 約280分/約540時間(静止状態)
GSM網 約240分/約350時間(静止状態)
ディスプレイ 約2.2インチQVGA(240×320ドット)有機ELディスプレイ(最大26万色)
モバイルカメラ 有効画素数300万画素CMOS(オートフォーカス対応)
外部メモリ(推奨容量) microSDHCカード(最大8GB)
カラーバリエーション ブラック、ホワイト