――麻上さんは、劇場版1作目は心の優しいクレア役、2作目は今で言うツンデレなメタルメナを演じられたわけですが。

麻上「もう、999号に乗せていただいただけでも嬉しくて。当時はファン代表みたいな感じでしたから」

――そのとき、すでに麻上さんは『宇宙戦艦ヤマト』の森雪役を演じていて、同じ松本零士作品の『銀河鉄道999』にもクレア役で出演ということになりましたね。

肝付「車掌さんが砕け散った体を集めて……クレアはガラスの体という発想が良かったよね」

野沢「素敵だったわよね。(クレアの死に)鉄郎が涙を流すシーンを思い出します」

池田「クレアは、私なんかもすごく印象が残っていますもの」

麻上「私にもとても心に残っていて、大切な大切な役でした」

――逆にメタルメナはどうでした?

麻上「全く性格の違うキャラクターを演じさせていただけるっていうのは、表現者としてはすごく面白かったですね」

――当時のアフレコ現場の雰囲気は、麻上さんから見てどのように感じましたか?

麻上「大先輩が命がけでやってらっしゃる姿を感じることができて、私にとってはものすごい財産となりましたね」

――逆に、その大先輩たちに囲まれて怖い思いをしたとことはなかったんですか?

麻上「全然そんなことはありませんでしたよ(笑)。当時、皆さんはすでに大御所で、私は幼稚園の子どもというか、クラブの延長みたいな感じで参加させていただいたのですが、すごく温かく迎えてくださいました。ですから、私も先輩になったら後輩にはそうしたいなと思いましたね。本当、すごく勉強になりました。役に向かう気持ちや背筋をピンとする、誇りを持って仕事するなど、いろいろなことを学ばせていただきました」

肝付「私は、若い女の子には『勉強するなら、池田さんのセリフを聴きなさい。それから野沢さんのパワーを勉強しなさい』って言うんですよ。今でもこんなパワフルな人、ほかにいないでしょう? そういう意味では、勉強するなら999のほうが『ドラえもん』よりいいと思うな(笑)」

麻上「私は若い子に、肝付さんの"自由さ"を学びなさいって言いますね」

野沢「自分で言うのも何だけど、この3人は本当に優しいんですよ(一同笑)」

――先ほども言いましたが、この『銀河鉄道999』は長い話数でしたから一緒にいらっしゃった時間が長かったと思います。ですから皆さん、家族みたいな感覚になっていたんでしょうね。

池田「そうですね。でも、だからって仕事を離れてもベタベタとした関係ではなかったわよね」

肝付「そうだね」

池田「すごくサラッと『お疲れさま~』って(笑)。まあ、私たち(女性2人)は、お茶に行ったりとかはあったけれど、長い作品だとよくありがちな、皆で旅行に行ったりだとか……そういうことはなかったわよね」

肝付「なかったですね」

池田「だからこそ会ったときに新鮮っていうか、すっと999の世界に入れるって感覚でしたね。余計なものが入らないというか……個人的に深くつながってしまうと、その人に思い入れが強くなったりすることがあるかもしれませんので」

肝付「仕事じゃなくて、そっちに気を使うようになっちゃったりしてね」

池田「変に馴れ合いになっちゃったりとかがなかったのが、逆に良かったと思います」

野沢「『1年に1回は旅行に行こうね!』『そうだね!』なんて話で盛り上がっても、企画する人がいなくて実現しなかったんです(笑)」