NECは開発時に、各機能担当者があらゆるシチュエーションでの動作をチェックしていく。タイプMの場合、通常のマシンのチェック項目に加え、RAID構築時の挙動や、BTOメニューで選べるあらゆる構成での相性確認、さらに各構成での騒音や発熱の度合いも審査するため、マイナーモデルチェンジの際も膨大な手間がかかるそうだ。平均してどれくらいテストを繰り返すのかを訪ねると、2人は「お前はいままで食べたパンの枚数を覚えているのか?」的な視線で首を振る。
大町氏「電源の中のコンデンサひとつとっても、NECの品質基準を満たす必要があります。また、部品個々の個体差(バラツキ)を考慮して、個体を替えた同じ構成の試用機を何度もテストします。特にタイプMは、静音性と冷却性という、ある意味反比例するものをベストチューニングしており、エアフローのチェックも相当厳しいんですよ。増設カードを挿す挿さないで内部の空気の流れに違いが出ますが、それらもすべてクリアした組み合わせで販売しています」
なかでも、特に自信を持っているのがRAID構成とのこと。現行のタイプMでは、RAIDなしの構成のほか、1TB×2台のRAID 0とRAID 1、1TB×4台のRAID 0+1が選択できる。ここに野中氏は、自作マシンでは得られない圧倒的な信頼性を実現していると胸を張る。
野中氏「HDDはかけがえのないデータを保存する重要なパーツです。しかし、同一型番のHDDを購入して自分で構築しても、そのシリーズやロットの特性で正常に動作しない場合もあります。合否は弊社独自のかなり高めの設計基準に基づいているので、他社のRAIDモデルにも負けない自信があります。ましてや自作と比べたら圧倒的だと自負しています」
買った状態で完全無欠なマシンながら、やはり空いているスロットがあるなら挿したくなるのも、コアユーザーたるゆえんだ。後編では、タイプMの拡張性について聞き込んでみたい。俺たちの取材はまだ始まったばかりだ!