顔料インクを採用しているだけあって、普通紙にプリントした際の印字品質は非常に高い。文字サイズが小さくても、文字のエッジがほとんどにじまず、レーザープリンタで出力したかのようにシャープだ。一般的な染料系プリンタでも、黒インクのみ顔料インクを採用して印字品質を上げているものがあるが、HP Officejet Pro 8500 Wireless All-in-Oneの場合は黒以外のインクも顔料。そのため、色つきの文字や白抜き文字なども、非常にきれいにプリントされる。

文字だけでなく、点線やヘアラインのような細かいパーツも、シャープに美しく再現される。写真などをプリントした際も、にじみが少ないため、ディテールがつぶれることなく表現されている。

普通紙にプリントし、一部分をスキャンしてみた。左から順に、「ドラフト」「標準」「高画質」の各モードで印刷したもの。「ドラフト」は、若干色が薄めで粒状感も目立っているが、印字品位自体は十分実用的

サードパーティのフォト光沢紙にプリントし、一部分をスキャンしてみた。染料系プリンタに比べると、光沢感などは若干物足りない印象だが、仕上がり自体は十分高画質だ

スキャナのドライバ画面。スキャンに必要な機能は一通り揃っている

インク数が4色のため、どうしても明るい中間色などで粒状感が目立ちやすくなるが、インク滴が小さいのでほとんど気にならない。グラデーションも十分なめらかに再現される。フォト光沢紙へのプリントも家庭で鑑賞する分には十分なクオリティを確保している。ただし、フォト光沢紙へプリントした場合は、染料系プリンタに比べると、若干、透明感や光沢感が足りない印象だ。写真プリントがメインの用途なら、染料系プリンタを使用した方が満足度は高いだろう。

ビジネスシーンでうれしい高速プリント

プリンタドライバでは、印刷品質を「ドラフト」「標準」「高画質」などの中から選べるようになっている

プリント速度は非常に高速で、モノクロ最高35枚/分、カラー最高34枚/分を実現している。プリンタドライバでは、印刷品質を「ドラフト」「標準」「高画質」などの中から選べるようになっており、選んだ品質によってプリント速度は変わってくる。実際にA4フルカラーのビジネス文書を各モードで普通紙にプリントしてみたところ、ファーストプリントの時間は下の表のような結果になった。今回は、紙面の半分以上に色面があるグラフィカルな文書で試したため、カタログスペックよりは時間がかかっているが、それでも「ドラフト」選択時は10秒程度で出力された。

■表:ファーストプリント時間
印刷品質 ドラフト 標準 高画質
プリント時間 10秒 17秒 50秒
※注:いずれも、A4フルカラーでの印刷。データの転送が完了し、プリンタが動き出してからプリントが完了するまでの時間を計測している
※注:文書の内容によっても数値は変わってくるので、あくまでも目安としてほしい

インクの減り具合は、本体の液晶モニタでも簡単に確認することができる

なお、印刷品質を「ドラフト」にした場合は、全体的に少し色が薄くなる傾向があるが、印字品位自体は十分実用範囲内。テキスト中心のビジネス文書などは、このモードをデフォルトにしても問題は少ないだろう。「高画質」と「標準」の印字品位の差はそれほど大きくなく、通常は「標準」でも十分なクオリティが得られるはずだ。ただし、A4普通紙全面に写真をプリントした場合は、「高画質」にした方が明らかに仕上がりがきれいだった。

ちなみに、HP Officejet Pro 8500 Wireless All-in-Oneには、インク量コントロール機能が搭載されている。これは、プリンタドライバでインクの消費量を設定できる機能。通常時に比べて、約25%削減することができるため、ランニングコストが低く抑えられる。ビジネスシーンでは、非常にありがたい機能だ。

プリンタドライバでは、インクの消費量や乾燥時間を設定し、ランニングコストなどを低減することも可能