『バイオニック・コマンドー』のゲームシステム

「かつての主人公を落ちぶれさせる」という物語の切り口は、なぜか、洋ゲーでは人気の設定だ。ちょっと昔では『トゥームレイダー6』、最新作では『スプリンターセル5』がこういう設定だった。

「ちょっと待って。カプコンなのに洋ゲー?」というツッコミはごもっとも。本作はもちろんカプコンのタイトルだが、ゲーム本編の開発はスウェーデンのGRIN社が行っているのだ(タイトル画面にもロゴが現れるので要チェック!)。

だからなのか、偶然なのか、ネイサン・スペンサーは、とても大きな心の傷を負って、今作のミッションに臨んでいる。かつての不敵なアクションヒーローではなく、心に葛藤を抱いたまま戦っているんだ、と思いながらプレイすると主人公への感情移入度がさらに増すはずだ。

ゲームシステムは基本的には、障害となる敵を撃ち倒しながら、ゴールを目指す三人称の3Dシューティングゲーム(TPS:Third Person Shooter)スタイルとなっている。

基本的なゲームシステムはTPSスタイル

プレイヤーは、非常に広大なゲーム世界に放り出されることになるのだが、メイン画面やナビゲーションレーダーマップに目的地マーカーが表示されるのでこれを目指して進めばOK。迷うことはない。ただ、この手のアクションゲームで最近多い、隠しお宝アイテム(回収物)の数々は、目的地マーカーとは異なる位置にあることが多く、こうしたアイテムの回収を真剣にやりたいプレイヤーは、広大なゲーム世界をくまなく探索する必要がある。ちなみに、『バイオニック・コマンドー』では、一度クリアしたステージについては、ステージセレクトで単品ステージとしての再プレイはできるものの、そこでの回収物は実績としてカウントされないという、とても厳しい実績システムを採用している点に注意したい。精神衛生上は「最初は通してシナリオを自由にプレイし、2回目はじっくりとアイテムを回収しながらプレイ」というスタイルがいいかも。

右手では銃を持てるネイサン。銃とバイオニック・アームを臨機応変に使い分けていくのが『バイオニック コマンドー』のゲーム性だ

ネイサンは左手がバイオニック技術により改造されており(後述)、右手は普通の人間の手のままとなっている。ゲームは、人間の右手で銃撃、人工的に造られた腕で特殊アクションを行うことが基本。ザコ敵はほとんど、銃撃だけで倒せるが、中ボスクラス以上は、「人工的に造られた腕」による何らかのアクションを活用しないと苦戦する。

『バイオニック コマンドー』は、TPSのゲーム性と、「人工的に造られた腕」を活用したアクションパズル的な要素を持ったユニークなゲームになっているのである。

「バイオニック・アーム」を駆使して敵に立ち向かう

「バイオニック・アーム」活用術

ネイサンの「人工的に造られた腕」はバイオニック技術によるもので、「バイオニック・アーム」と命名されている。この「バイオニック・アーム」はワイヤーガンのような構造になっていて、具体的には、掴む能力のある"鋼鉄の手"を、伸縮可能なワイヤーで打ち出すような性能を持つ。

ちなみに、この「バイオニック・アーム」の基本能力は以下の通り。

●バイオニック・アームの能力・その1 ~遠方のモノを掴める
腕を伸ばして掴み、ふたたび腕をたぐり寄せることで、射程範囲内ものはつかみ取ることが出来る。

敵を掴むことも可能! 掴んだあとは放り投げるか、引き寄せて打撃攻撃をお見舞いするか?

●バイオニック・アームの能力・その2 ~背景を掴むことで高速移動
腕を伸ばし、不動の背景物を掴んでワイヤーを巻き取ると、自分の身体のほうが掴んだ先へ引き寄せられる。つまり、ワイヤーを巻き取る速度で移動ができることになる。上下移動はもちろんのこと、水平移動に活用すれば走るよりも速い。

木の枝の上のような高い足場へ、木をよじ登らずに到達可能。枝に「バイオニック・アーム」をひっかけて巻き取れば簡単に登れてしまうのだ

●バイオニック・アームの能力・その3 ~スウィングアクションができる
バイオニック・アームの一番の特徴ともいえるのがスウィングアクション。背景物を掴んで、そのまま巻き取らずにジャンプすれば、掴んでいる部分を支点にして振り子運動(ブランコ=スウィング)アクションが行える。

スウィングアクション中に掴んでいる手を離せば、カタパルト的ジャンプを行うことができ、通常のジャンプよりも遠くへ飛び出すことができる。さらに、このスウィングアクションを連続で行うことで、ターザンやスパイダーマンのように、猛烈なスピードで縦横無尽にゲーム世界をスウィング移動が可能となる。

本作でもっとも基本的な動作となるスウィングアクション。ただ少々独特な操作なので"慣れ"が必要だ

"その1"は直接手の届かない場所にあるアイテムを取ったり、ゲーム途中、軍部から支給される支援物資カプセルからのアイテム取得に活用することになる。敵を掴むこともでき、これを放り投げたり、敵を掴んだまま巻き取りを行って敵へ急接近しその速度を利用したドロップキックをお見舞いしたり(技名 / ジップキック)、あるいは逆に敵をたぐり寄せてのカウンターパンチをお見舞いしたり(技名 / リップ)することができる。

"その2"は、ワイヤーを巻き取ったあと、自動的に近場の足場に着地できる技に変化する(技名 / リープアップ)。飛び上がったあとの着地は、狭い足場へも自動的に軌道修正がなされるためなのか、とても簡単だ。

"その3"は、このゲームで一番重要なアクションなのだが、ちょっとクセがあって、プレイ開始初期は「取っつきにくい」と思ってしまうかもしれない。この点については、ちょっと詳しく解説しておこう。

「バイオニック・アーム」は敵に向かって射出すれば敵を掴める。このアクションが実はとても重要

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