「ION」プラットフォームとは、ネットブックなどに採用されているインテルの低発熱・低消費電力CPU「Atom」とNVIDIA GeForce 9400M Gチップセットを組み合わせたもの。従来のAtomモデルで採用されてきたチップセット、Intel 945GSE Expressなどに比べ、3D性能が大幅に向上している。さらに、ハイビジョン映像の再生支援機能、エンコードなどの処理をGPU側で行う技術「CUDA」に対応するのが最大の魅力。ハイビジョン再生や動画編集が困難となる非力なAtomをGPUのパワーで補おうということだ。
その威力は確かなもので、再生支援に対応するプレイヤーソフトならば、40Mbpsという高ビットレートのフルHD動画を再生してもCPUの使用率は20%前後で安定していた。Blu-rayディスクのタイトルを再生しながら、別の作業を行うといったことも十分可能だ。
ただしその一方で、YouTubeやニコニコ動画などブラウザ上で再生する動画に関しては再生支援が有効にならないようで、ハイビジョン動画はコマ落ちしてしまう。今後は動画投稿サイトへの対応が課題になるだろう。
エンコードでも、GPUの威力は発揮される。CUDAに対応した動画変換ソフト「badaboo」で139MBのフルHD動画をYouTube対応の形式に変換を実行したが、わずか3分7秒で完了できたのに加えて、CPUの使用率は30%前後であった。こちらも、エンコードを実行しながらブラウザでWebサイトを見るなど、ほかの作業を並行できる余裕がある。CPUにAtomを採用しながら、複数の処理を並行して行えるのはいままでのNetbookやNettopにはない魅力だ。