――そうすると、正式に認可されて10年目ということになるんですね。それでもなお眼の中をいじるというのは、やはり恐怖感が先立ってしまうのですが。

小谷野氏「それは当然です。ごく小さなほこりが入っただけでも痛いのに、その眼に加工を施すということがなかなか理解されにくい。ですが、実際にレーシックを受けた方の話を聞いていただければ早いのですが、まったく痛みがない。その理由として、点眼麻酔などが開発されたことです。ですから安心して受けていただきたいと思います」

――レーシックにもいろいろな術式があることを知りませんでした。

小谷野氏「その患者さんの眼の状態や見え方の希望によって、広くとらえれば10種類ほど術式があります。その中でも今後主流になっていくと思われるのが、iLASIK(アイレーシック)というものです。 これは、アメリカの眼科医の多くが導入を始めている術式で、3つの技術を統合したものです」

「その3つとは、まず計測の技術。これは宇宙工学の技術を応用したきわめて高度な技術で、簡単に言うと一つひとつの角膜のゆがみ、つまり光の入り方を的確に測るものです。次に角膜にフラップという円形上の"ふた"を作る技術。以前はブレードという剃刀で作っていたのですが、iLASIKでは『フェムトセカンドレーザー』という最先端のレーザーを使って、より正確に、完璧なフラップを作れるようになりました。最後が、計測した患者さんごとの眼のデータに基づいて、最適なレーザーを照射する技術です。この角膜を削るVISX S4 IRというレーザーは、LASIK先進国のアメリカで60%のシェアを持っています。レーシックでは視力が回復しても、まれに夜間に視界がぼやける、見えづらさ・まぶしさを感じるという現象が起こることがありますが、このiLASIKは、それが大幅に軽減され、術後のリカバリーも最もよいことが実証されています。アメリカでは宇宙飛行士や空軍のパイロットなどにはこのiLASIKだけが認められているのです」