――それでは、エンディングテーマとなっている「やったね♪マーチ」を初めて聴いたときの感想を教えてください
「こちらも『難しい曲だ』って思いました。なぜかといいますと、歌詞がすごく細かくて、早口言葉みたいになっているんですよ。なので、最初は歌えないかもって思ったのですが、何回も歌っていくうちに身体に染み付いてきたみたいです。今、コンサートでも歌わせていただいているのですが、『あずみさんがすごく楽しそうに歌っているのが印象的でした』ってよくいわれますね。曲自体はケルト調といった感じで、私自身すごく好きな音楽です。とにかく聴いていて明るくなる曲ですね」
――レコーディングは大変でしたか?
「苦手な曲だったこともあって、かなり練習したので、レコーディング自体はスムーズでした。私の場合、8ビートはけっこう歌えるのですが、シンコペイションといいますか、この歌はシンコペイションではないのですが、跳ねる感じの曲は不得意なんですよ。なので最初に聴いたときは、『ついに来てしまったか』といった感じで、『まあ、26年もやっていれば、こういう曲にも巡りあうようね』って(笑)。なので、頑張って練習して歌わせていただきました」
――今ではもうカンペキですか?
「カンペキですね。実は覚えてしまうと、すっと入ってくるメロディなんですよ。私自身が苦手だったというだけで、本当はそれほど難しくないのかもしれません(笑)。ただやはり苦手な曲だったので、今はもう歌えること自体がうれしいんですよ。もしかしたら、その喜びが顔の表情や態度に出ているので、皆さんが楽しそうだと感じてくれているのかもしれませんね」
――ではエンディングテーマの聴きどころは早口言葉のような部分ですね
「もちろんそこも聴きどころではあるのですが、『みーっけ』っていう歌詞にも注目してほしいですね。四つ葉のクローバーを『みつけた』ではなくて、『みーっけ』になっていまして、子どもにかえった気持ちになるので、私自身はそこが大好きです。歌っていて楽しくなりますね。あと、最初の『歩こうよ』というところが、『さんぽ』の『歩こう歩こう』にも繋がるかなって思います。これもよく言われますね(笑)」
――井上さんがアニメソング、特に子供向けの歌を歌うときに心がけていることはありますか?
「ジャンルによって歌い方を変えるということはないのですが、心がけているということでいえば、『言葉がわからなきゃ歌手じゃない、言葉がわからなきゃ歌じゃない』って思っているので、『言葉がちゃんと伝わるように』ということは常に意識しています。歌詞カードを見ないとわからないような歌い方はなるべくしないようにと思っています。『やったね♪マーチ』は、ちょっと言葉が多いのでわかりにくいところもあるのですが、それでもなるべく、1回聴いただけでわかるように心がけて歌っています」
――TVの放送を観ているだけでちゃんと歌詞が覚えられるといった感じですね
「特に小さいお子さんは、字が読めないじゃないですか。いくら歌詞が字幕で出ていても、そういったお子さんはやっぱり聴いて覚えるしかないんですよ。だから、聴いただけで歌詞がわかるようにと思って歌っています。ただ、そのおかげで、歌詞をまちがえると、『あずみさん、まちがえたでしょう』って、みんなに言われてしまいます(笑)」
――それぐらいクリアに歌っているということですね
「歌詞がわからないと、自分自身もけっこうストレスを感じるんですよ。もちろん素敵なメロディの曲で、メロディが好きということもありますが、歌詞で好きになったり、歌詞で感動することって多いじゃないですか。だから私は、そういうところをこれからも大事にしていきたいと思っています」