セミナーの人気からもうかがえる注目度の高さ
セミナー会場の様子。真剣にテイスティングする参加者たち |
今回のイベントでは、そんなブルゴーニュワインを支えるべく、日本のインポーターや飲食店、酒販店を対象にした「ブルゴーニュワインセミナー」が開かれた。講師に米国ワインエデュケーター認定CWEの資格を持つ児島速人氏を迎え、その歴史、テロワール(土壌)、料理との相性などが解説された。午前と午後に1回づつ行われたこのセミナー、予約の段階ですでにどちらも満席(計163名)で、ブルゴーニュワインへの感心の深さがうかがえる。
なお、セミナーではAOC別に8種類のワインテイスティングも行われ、地方・地区名ワインから村名、プルミエ・クリュ、グラン・クリュとランクアップ、並べて比較すると造りの違いがここまで明確になるものかと感心しきりであった。
テイスティングワインリスト
- マコン・ヴェルジッソン2007 / ドメーヌ・ブルトン(白・地区名)
- ブルゴーニュ2006 / メゾン・ミシェル・ピカール(赤・地方名)
- リュリー・レルミタージュ2002 / ドメーヌ・シャンジー(白・村名)
- モレ・サン・ドニ2005 / ドメーヌ・トープノ・メルム(赤・村名)
- シャブリ・プルミエ・クリュ・フルショーム2006 / ドメーヌ・ド・シュヌヴリエール(白・1級畑)
- ラドワ・プルミエ・クリュ・ラ・コルヴェ2005 / シュヴァリエ・クロード・エ・フィス(赤・1級畑)
- コルトン2005 / ドメーヌ・ダルデュイ(白・特級畑)
- クロ・ド・ラ・ロッシュ2005 / ブシャ―ル・エネ・エ・フィス(赤・特級畑)
セミナー当日にテイスティングした8種類のワイン。左からマコン・ヴェルジッソン2007、ブルゴーニュ2006、リュリー・レルミタージュ2002、モレ・サン・ドニ2005、シャブリ・プルミエ・クリュ・フルショーム2006、ラドワ・プルミエ・クリュ・ラ・コルヴェ2005、コルトン2005、クロ・ド・ラ・ロッシュ2005 |
ブルゴーニュワインは職人によるオートクチュール
「でも、ブルゴーニュワインの高価なイメージはどうしても拭えない」とパラン氏に感想をぶつけてみた。すると彼女はこう答えた。「確かに位置づけが高いのは事実。ただ我々のような小さな地域で、しかも流れ作業で製造する工業製品ではないワインを造るとなると、量的にも価格的にも限界がある。我々はその手で1つひとつ手造りするジュエリー職人のような存在。したがって、完成したワインはオートクチュールなのだ」と。
オートクチュールにはエレガントさ、繊細さ、そして仕込みの細かさがある。来日12回目のパラン氏は、時間を見つけては日本の酒蔵をも訪問。どうやらここに、ブルゴーニュワインとの共通点を見つけたようだ。そして、来日の理由は、もちろん消費者拡大の意味もあるが、何より日本の愛好家たちがブルゴーニュワイン生産者に対し、"職人"という意味で尊敬の念を払ってくれていることに敬意を表してという意味合いもあったことを明かしてくれた。
別室の会場では201種類ものワインが並べられてのテイスティングが行われており、約600人といった多くの人々が集まっていた。自他共にブルゴーニュワイン愛好家であることを認める著名ソムリエや酒販店主に多数遭遇した。そしてそこには、ブルゴーニュワイン委員会コミュニケーション委員長としての顔ではなく、「ドメーヌ・パラン」第13代当主、つまりいち生産者としてブースを切り盛りしているパラン氏の姿があった。
テイスティング会場ではすっかり生産者の顔のアンヌ・パラン氏(写真手前左) |